ソシャゲ系

□恋の炎
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「ダークネス君!」

「で、出た...」

嬉々として掛けられた声に、ダークネスはうんざりとした様子で振り返った。
見ると、ブンブンと手を大きく振るナナシ。
この姿を見れば、とても優秀な司令官とは思えなかった。
なぜかナナシは極希に国に訪問するダークネスを見つければ飛んできて勝手に同行するのだ。
司令官だから暇ではないだろうに、少しでも行動を共にしようとする。
別の者だったらすぐにでも燃やしているところだが、どうにもナナシにはその気になれず渋々と同行を許していた。

「...まぁ、オマエが爆破なんかより炎が好きだというのは悪くないけど」

「そりゃあもう、ダークネス君が好きだからね炎のが好きだよ」

「す、好き...って、オマエ、本当に変なヤツだな...」

「あ、ダークネス君照れてる?」

「て、照れてない...!」

そうは言うものの顔は赤く、それを隠すためにフードをさらに目深に被った。
そんなダークネスの様子にナナシはくすくすと楽しそうに笑う。
燃やしてしまおうか一瞬思ったが、好きと言われて悪い気はしなかった。
寧ろ嬉しいとさえ感じてしまった。
自身のこの感情がどういう意味なのか、この時はわからなかった。

「ダークネス君聞いてよ、昨日イオネに晩御飯ご馳走してもらったんだけどすごく美味しかったんだよね!」

「ふーん...」

自分以外の男の名前が出たことがどうにも面白くなく、いつもよりも素っ気ない返事をしてしまう。
どうして面白くないのか、やはりわからない。
ナナシといるとそういうことばかりだ、と腹立たしくなった。

「ダークネス君も今度おいでよ」

「なんで僕が...」

「うーん、好きな人には来てほしいから」

「.........まぁ、考えておいてやるよ」

イオネの話が出てから胸の内に黒い炎が燻っていたのに、好きな人と言われその炎は消えた。
こうも一人の人間の言葉に一喜一憂されるのは何故なのか、好きと言われれば心に暖かな火が灯り、自分以外の話では黒い炎が宿る、これは、もしかしてナナシに恋をしているのではないか。
まさかとは思うが、しかしそれ以外にこの感情は説明しようがなかった。

「......おいナナシ」

「なに?ダークネス君」

「オマエ、......僕のことす、好きって言ったよな?」

「言ったよ?ダークネス君のこと大好き!」

「〜っ!!そ、その...、僕もナナシのこと、す...............嫌い、じゃない...」

向き合ったかと思えば、どもりながらもそう伝えた。
恥ずかしくてか最後の台詞はきちんと伝えられなかったもののナナシには彼が好意を告げてくれたことがわかった。
感激のあまり手を取ると、ダークネスは居心地悪そうにしたがそんなのは関係ない。

「ダークネス君好き、大好き!まさかダークネス君も私を好きになってくれるなんて!」

「ぼ、僕は別に......、...ナナシ」

「はい」

「あまり、...他の男の話するな」

「ダークネス君の頼みなら!」

「ヒひ...いい返事だ。浮気したら七日七晩かけて燃やしつくしてやるからな...?」

「...ダークネス君になら、燃やされてもいいかも」

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