ソシャゲ系
□あの子が男の娘だった件について
1ページ/1ページ
「嘘だ!トキワちゃんが男の子だなんて私は認めない!!」
「認めるもなにも、僕は最初から女の子だとは一言も言ってないにゃん。勝手に勘違いしたのはナナシだにゃん」
「いやあああ!私の初恋を返してええええええ!」
顔を覆って叫ぶナナシに、トキワは顔を歪めた。
ナナシは、トキワに恋をしていた、"女の子な可愛い"トキワに。
ずっと女の子だと思っていた、だから部屋にも何度も泊めたし一緒に遊びにだって行った、ずっとずっと女の子だと思っていたから。
なのに、そんな相手が男だと発覚した、トキワは俗に言う男の娘だったのだ。
それを知った時のショックは以下ほどのものだろう、それはナナシの今の嘆きを見れば嫌でもわかるだろう。
「勝手に惚れて勝手に告白してきたのはそっちだにゃん。一人称も僕だし、男と思ってもらっていると僕は思ってたにゃん」
「僕っ娘かと思ったんだもん!」
「そんなわけないにゃん」
ぐすぐすと泣くナナシをトキワは冷めた目で見る。
今日、ナナシは勇気を出してトキワに告白したのだ、そして、その時のトキワの返事で知った。
『...僕も、やっぱり男だから好きな相手から告白されると嬉しいにゃんね』
『...............は?男?』
聞いた時、ナナシの全ての時が止まった。
そしてピシピシとナナシの中の何かが崩れていく感覚。
絶望とはこういうものだと、ナナシは初めて知った。
「うぅ......トキワ君なんて聞いてないよ......。トキワちゃんを返して......」
あのちょっぴり我が儘で毒舌な女の子は幻想に葬られた。
いくら手を伸ばしてももう届かないのだ。
「......もう!、性別なんて些細な問題だにゃん。僕は告白の返事をしたから今さら撤回なんて認めないにゃん。男の僕に慣れさせてやるから覚悟しろにゃん。僕のハートを奪った罪は重いのにゃん!」
「え!?ちょっ、むぐっ!」
顔を強引に掴まれて、唇を重ねられた。
顔に熱が集まり、脳が蕩けそうになる。
あれほど絶望していた男のトキワが、何故か嫌じゃない。
性別なんて関係なかったのだ、だって、ナナシはトキワが好きなのだから。
その事実をナナシがきちんと自覚するのはまた暫く経った後だが。