恋に落ちた海賊王

□海賊酒場の女主人
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シリウス海賊団が食料補充のため立ち寄ったのは、海賊がこぞって船を休ませる"カスピヤ島"。


食料は手頃な値で取引され湧水を飲用水として売られている。


海賊が来る理由は、取り締まりがないこと、婬売婦が多くいることなど、多様。



しかし中には、別の理由を持ち合わせた賊も居た。



寂れた街頭に佇む、一軒の酒場。

一日中開いているその店はたった一人の女主人が切り盛りしている。

これを目当てに来るのだ。


酒も肴も切れることはないその店。

夏は暑さがとぶようなキンキンに冷えたビールが。
冬は芯から暖まるような熱々の肴が。
やって来たお客をもてなした。


前に、"取り締まりがない"と言ったが、何も海兵隊が居ないわけではない。

海兵は居るのだが、取り締まらないのだ。

何故なら、彼らもまた、ここで女を抱き、日々の疲れを癒して行くからだ。





「ぇ、じゃあ普通にしてていいんですか?」


トワが驚いたように言うとソウシがあぁ…と、思い出したように言った。


「トワは初めての上陸だったね。この島は海賊の為の島みたいなものなんだよ?」
更に、ほくそ笑みをたたえたシンが言葉を継いで言った。

「それに、ここでは争いは起きない。何せ"アイランド・ガーディアン"が目を光らせているからな。」
「"アイランド・ガーディアン"?何ですかそれ?」


不思議そうにしたトワに、ハヤテが双剣の手入れの手を止め決まり悪そうに話した。


「今日俺たちが行く酒場の女主人の二つ名だ。」


『何でハヤテさん、不機嫌なんですか?』
『イロイロね?』
『はぁ…??』


「みんないるな?」


船長のリュウガが甲板に現れた。

「今日からこのカスピヤ島に3泊して出航にする。ナギとハヤテは食料を、ソウシとトワは薬品を調達してこい。オレとシンは船の点検に残る。各自仕事が終わったものから、あの店に集合だ。」

「「アイアイサー!!」」

渋い顔で頷いたハヤテを除き、各自いつも通りだ。


「ハヤテ、お前はまぁだアイツが苦手か?」

ケラケラ笑うリュウガに少し気を害されながら、ハヤテはナギの後を追った。



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