秘めごと(夢小説)

□秘められた願い
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元旦の朝、とぼとぼと俯き加減に歩いてる彼女に目が止まって、気がついたら声をかけていた。

虎松「どうしたの? 家康様と何かあった?」

彼女がこんな顔をしているのは決まって家康様が絡んでいる時。

エマ「あ、虎松くん。大したことじゃないの。ただ、家康様と初詣に行きたいなと思ってお誘いしたら忙しいって断られちゃって」

やっぱり。

そう言って悲しそうに笑う彼女が見てられなくて、思わず口を開いた。

虎松「それって、俺とじゃダメかな?」

エマ「え?虎松くんと?」

虎松「そ、その、俺もちょうど暇してたし。アンタさえよければだけど」

エマ「うん! じゃぁ一緒に行こう!」

打って変わって花開いたような笑顔になる彼女に頬が熱くなるのを感じながら、俺は心の中で忠勝さんに謝っていた。

半刻後に、という言葉を残してお互い出かけるための準備へと別れる。

そのままの足で忠勝さんの部屋へと向かった。

虎松「忠勝さん、申し訳ないんですが、年始の"鍛錬初め"しようって約束、また今度でいいですか?」

忠勝「おぉ、いいけど、どうしたんだ?」

虎松「ちょっと、出かける予定ができて」

言葉を濁す俺に見かけによらず察しのいい彼が言う。

忠勝「さては好きな子とでも出かけるんだろ?」

虎松「……そんなんじゃ、ないです」

忠勝「隠すことなんてないぞ。お前だって健全な青少年だ。好きな子の一人や二人ぐらい居たっておかしくない」

虎松「いや、一人しかいないですけど」

忠勝「ははっ、分かってるって。じゃぁ俺は榊原でも誘ってみるかな。お前は好きな子と楽しんでこい」

それには答えずにて一礼して部屋を出ると柄にもなく前髪を整えつつ急ぎ足で門前へと向かった。


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