秘めごと(夢小説)

□蜜より甘い君との夜(謙信様お誕生日物語)
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白檀の香がほんのりと焚かれた謙信様の御自室。

今夜もまた、いつの間にか日課のようになっていた手作りの甘酒を部屋に届けた後、他愛もない会話をしながら二人の時間を楽しんでいた。

謙信「エマ、今日は何か変わったことはあったかい?」

エマ「そうですね……。あ、そういえば、お庭の池で渡り鳥の群れが休憩を取っていたんですよ。兼続様は、まったく羽が抜け落ちる!景観を損なう!なんておっしゃってましたけど……」

謙信「ふふ、そうかい。兼続は風流を愛でる心をすこし養った方がいいかもしれないね」

エマ「謙信様は何か素敵なことありましたか?」

謙信「そうだね、今日は珍しい物を手に入れてね。見てごらん?」

謙信様が部屋の隅に合った壷を手に取り、中を見せるように私へと傾ける。
壷の中にはとろりとした琥珀色の液体が入っていた。

エマ「謙信様、これってもしかして………」

謙信「うん、そうだよ。蜂蜜………。君が喜ぶかと思ってね」

エマ「でも、蜂蜜ってそんなに高価なもの……」

恐れ多いと思う気持ちと共に、隠し切れない料理人としての興味が胸に満ちていく。

謙信「気に負うことないよ。明日は私の誕生日だからね。これを使って特別な菓子を作ってはくれないかな」

エマ「は、はい!もちろんです!とびっきりのお菓子、ご用意いたしますね」

謙信「ふふ、それは楽しみだな。……でも、実を言うとね。今すぐ甘いものが食べたいんだ。蜂蜜を添えて食べたらどんな味がするか、試してみたくてね」

エマ「それならば、お台所から何か持ってきましょうか?」

そう提案すると柔らかく細まった瞳が私を見つめふるりと頭(かぶり)を振る。

謙信「もうここにあるから、席を立つ必要はないよ」

エマ「そ、それって一体……?」

真意を測りきれず、期待と疑問に満ちた瞳を数度瞬かせる。
だがそんなことは気にせず、謙信様は瞳に穏やかさを湛えたまま、長い指先を壷の中へと差し込んだ。

謙信「ほら、どうぞ。……まずは、君自身で味を見てごらん」

人差し指に掬い取られた蜂蜜はろうそくのゆらめく光を受けてつやりと輝く。

エマ「でも……」

謙信「ほら、遠慮しないで」

はしたないと思うのに、料理人としての探究心と誘うような瞳に抗えず、蜜に引き寄せられる蝶のごとく舌先を伸ばしペロリとひと舐めする。

エマ「甘い…」

謙信「ふふ、そんなに少量では味がわからないのではないかい?しっかりと口に含んでもう一度よく味わってごらん」



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