秘めごと(夢小説)

□夏祭り
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(秀吉様、気に入ってくださるかな・・・)

姿見を見ながら、何度もおかしいところがないか確認する。

そこに映るのは、淡い空色を背景に黄色や橙の大輪の向日葵が咲いた柄の浴衣に身を包み、髪を結い上げた自分。
唇に軽く紅を引き、頬は色を差す必要がないほど桃色に上気していた。

母「エマ、犬千代ちゃんたちがお迎えに来たよ!」

エマ「はーい、今行く!」

最後に今一度姿見を確認し、その中の自分ににっこりと微笑んでみた後、そそくさと巾着を掴んで店先へと駆ける。

犬千代「やっと来たな。ったく、準備にどれだけかかってるんだよ」

三成「俺や秀吉を待たすなと何度言ったら分かるんだ、まんじゅう女」

秀吉「まぁまぁ。俺たちのために着飾ってくれたんだよね、エマちゃん。浴衣姿もエマちゃんも、とっても可愛いよ」

エマ「あ、ありがとうございます」

秀吉様はいつも、こんな風にいとも簡単に私を赤面させる。
甘い笑顔で、手放しで褒めてくれる言葉たちは、いくつもらっても慣れることはない。

犬千代「おい、なに赤くなってんだよ。浴衣なんていつも着てる着物とそう変わんねえだろ?」

秀吉「わかってないなー、わんこくん。だから万年幼馴染どまりなんだよ」

犬千代「はぁ?どういう意味だよ?」

秀吉「一生分からないままでいいよ」

今夜は京の地元で開催される夏祭りの最終日。
神社で行われている縁日へ足を運び、それから花火を見る予定だ。

エマ「じゃぁいってきます」

母と弥彦に別れを告げ、心を弾ませながら、家を後にした。

・・・・・・・・・・

神社へと続く道を4人で歩いていく。
縁日が近づくにつれ、人手が増え賑やかになっていく。

秀吉「やっぱり最終日だけあって混んでるね。ほら、エマちゃん。はぐれるといけないから」

当たり前のように差し出された手に心がほっこりと温かくなる。

犬千代「おい、そういうのはいつも俺の役目って決ってるんだよ」

犬千代もほら、と手を差し出す。

私は・・・・
   A.秀吉様の手を取る 
   B.犬千代の手を取る 

→ A.秀吉様の手を取る (好感度Up!)

秀吉「残念。俺のほうが一足早かったみたい」

犬千代に見せ付けるかのように少し強引に手を取られ、思いもかけず指が絡まるように繋がれると心臓がどくりと浴衣の下で跳ねる。

犬千代「ったく。なんなんだよ、お前」

三成「じゃぁ秀吉がはぐれるといけないから逆の手は俺がつなごう」

秀吉「三成。誰が祭りに来て男と手をつなぎたいと思う?そんなに手がつなぎたいんなら相手がいなくて寂しがってる犬千代の手でもつないでやりなよ」

三成「誰があんな薄汚い駄犬の手なんかつなぐか!」

犬千代「っるせーな!俺だってこっちから願い下げだ!」

わいわいと言い合う二人の数歩後ろを密かな想い人と手をつなぎながらゆっくりと歩く。

秀吉「二人っきりだったらよかったのにね」

こそっと耳元でささやかれ、掠める吐息に一気に体温が上昇する。

エマ「そ、そうですね。でも犬千代、心配性だから。一緒についていくって聞かなくて」

秀吉「三成も似たようなもんだよ。早くあいつにも好きな子できればいいのに」

(あいつに「も」って・・・・? 秀吉様にはもう好きな子いるってことだよね・・・?)

こんな風に手をつながれ、甘い言葉を囁かれ、それって私のことかも?!・・・なんて淡い期待を抱いてしまう。

犬千代「おい、おまえらもっと早く歩けよ!!」

ふわふわとした考えに浸っていた私は、犬千代の無粋な言葉に一気に現実へと引き戻された。



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