秘めごと(夢小説)

□夏祭り
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犬千代「おい、おまえらもっと早く歩けよ!!」

犬千代の無粋な言葉に一気に現実へと引き戻される。

犬千代「エマ、こっち見てみろよ。お前の好きそうな物売ってるぞ」

秀吉様と近づいてみると、たくさんのおなご達で賑わう屋台には色とりどりのかんざしや櫛、さまざまな形の耳飾りに首飾り、凝った刺繍の入った巾着などの装飾品が所狭しと並んでいた。

エマ「うわぁ・・・かわいい!」

犬千代「だろー!絶対喜ぶと思った。お前単純だからな!」

エマ「もー、犬千代はいっつも一言余計なの!」

そんな私と犬千代の気の置けないやり取りを秀吉様は目を細め、穏やかな、しかし感情の読めない表情で見ている。

私は・・・・
   A.犬千代と見て回る 
   B.秀吉様と見て回る 

→ B.秀吉様と見て回る(好感度Up!)


三成「おい、秀吉、いつまでこんな場所で時間を潰す気だ。頭に花が咲いてるおなご達に囲まれて虫唾が走る」

秀吉「まあそんなこと言わずに。あ、そーいえば三成、さっきまんじゅう売ってる屋台があったよ。少し息抜きしてきたら?犬千代も一緒に連れてって」

三成「俺にあの番犬のお守りを押し付けるのか?」

秀吉「三成、頼むよ。まんじゅう代あげるから」

三成「・・・・・わかった」

そうして三成は犬千代の袂を掴むと、文句を垂れる犬千代に耳を貸さず大股で人の行きかう通りへと消えていった。

そんなやり取りは露知らず、きらきらと輝く小物たちに、つい目を奪われうっとりとしてしまう私。
ゆっくりと眺めていると、中でも特に目を引くものがあって思わず指を伸ばした。

エマ「かわいいっ・・・」

秀吉「これ・・・」

伸ばした指先が、同時に伸ばされた秀吉様のそれと重なる。
そこにあるのは大輪の向日葵をかたどった可愛らしい耳飾り。

エマ「あっ・・・」

秀吉「エマちゃんもこれ気に入ったの?」

エマ「・・・はい」

秀吉「俺もこれエマちゃんの笑顔とか雰囲気にぴったりだなーと思って。特に今日の浴衣姿に似合うんじゃないかな」

とろけるような笑顔で首を傾げられ、それを正視できないほどに顔が火照る。

秀吉「ねえ、これ俺からエマちゃんに贈らせて?」

エマ「え、でも・・・。そんなの申し訳ないです」

秀吉「俺がそうしたいんだよ。俺が選んだものをエマちゃんに身につけて欲しいんだ」

そんな風に熱のこもった声で言われ、私は頷くしかなかった。

エマ「・・・・は、はい。ではありがたく頂戴いたします」

秀吉「うん、ありがと」

――――

屋台を出るとふと犬千代と三成様の姿がないことに気づく。

「あれ?あの二人はどこに行っちゃったんでしょう?」

「あぁ、なんかお腹が空いたとかで食べるもの探しに行ったよ。二人ともいい大人だしほっといても大丈夫だよ。ねぇ、エマちゃん、これ、つけてくれる?」

そう言って秀吉様は買ったばかりの耳飾りを目の前に掲げる。

恥ずかしがりながらも、はい、と答えそれを受け取ろうとすると、意地悪な笑顔でひょいっとかわされる。

「・・・俺がつけてあげる」

私の目の高さにまでしゃがまれ、一気に近づいた距離に胸が早鐘を打つ。

その指先で丁寧に耳の輪郭をなぞられ、ゆっくりと耳たぶに触れられると、そこが燃えるように熱くなる。

「・・・っ!」

(そんな触り方しないでっ・・・!)

思わずぎゅっと目を閉じ息を飲む私に秀吉様が口角を上げたようで空気が間近で揺れる。
そうして両方の耳に大輪の向日葵が咲く。

秀吉「うん、とってもよく似合ってる」

瞳を覗き込まれ、結い上げた髪から逃げ出た一筋の毛束を耳に掛けられながらそう言われる。

「あ、ありがとうございます・・・」

「ねえ顔、真っ赤だけど大丈夫」

「大丈夫です。けど、その、距離が近かったから・・・・」

「あ、ごめん、イヤだった?」

「いえ、イヤではない、です・・・」

「そう、ならよかった。邪魔者もいなくなったし、次はどこに行こうか?」

当たり前のように指を絡み合わせるように手を取られる。

(もう心臓壊れる・・・・・)

今夜秀吉様に会ってから一向に落ち着くことのない胸の鼓動に半ば感心しながら、繋がれた手をぎゅっと握り返した。



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