秘めごと(夢小説)

□夏祭り
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「ねえ、エマちゃん、お腹すかない?花火が始まる前に少し食べておこうか?」

「そうですね!あ、あそこ、飴菓子の屋台がありますよ!秀吉様べっこう飴お好きですよね?私はりんご飴がいいかなぁ〜・・・」

思わず屋台の方へぐいと体を伸ばし、繋がった手を引っ張るように歩き出してしまう。
ふと視線を感じて秀吉様の方を振り返ると、彼は目を細めて優しく私を見ていた。

「あ、・・・・ごめんなさい。ちょっとはしゃぎすぎですよね」

「いや、可愛いなと思って。・・・・・ん?どうしたの?」

「・・・秀吉様。・・・・・その笑顔、反則です・・・」

秀吉「ヘ?」

頬を染めながらわざともごもごと口の中で呟いた言葉は、雑踏にかき消され秀吉様の耳には届かなかったようだ。

胸のドキドキを知られたくない私はつい早口にべらべらと幼馴染との思い出話を語ってしまう。

「いえ、なんでもないです!さ、行きましょ!りんご飴といえば犬千代が小さい頃、買って一口も食べないうちにに人とぶつかって落としちゃって・・・・んっ!」

不意に手をぐっと引き寄せられ、気がつけば一瞬のうちに秀吉様の胸の中にいた。

「・・・・・っ」

眼前に広がるのは少し開いた着物から覗いた逞しい胸板。
普段の甘い笑顔からは想像が付かないほど硬くてしっかりとした胸板に改めて男の人なんだと認識させられる。

「ねぇ、」

声をかけられおそるおそる秀吉様の顔を見上げる。

「・・・俺といるときはあいつの話しないでよ」

間近で見るハシバミ色の瞳が、熱を帯びその色を濃くする。

「あ、あの・・・、秀吉さ、ま・・・?」

「ん、冗談。さ、飴買いに行こ!」

まるで何事もなかったように身体に回った腕を解かれると、手を引かれ目的の屋台へと向かう。

(な、なに今の? あの瞳、冗談なんかじゃなかった・・・・・)

背中に回された腕と胸板の感触がまだ体に残っている。

いまだに繋がった指先から、私の鼓動の早さが知られてしまうんじゃないかと思うほど、全身が心臓になったかのように熱く大きく脈打っていた。

――――――

「そういえばあの二人はいつ戻ってくるんでしょう?」

それぞれお目当てだったべっこう飴とりんご飴を買った私たちは人ごみの中、二人の姿をきょろきょろと歩きながら探していた。

「ほら、あそこみてごらん」

指差されたほうを見ると、背の高い犬千代に、綺麗なお顔の三成様は歩いているだけで人目を十分に引いており、すれ違うおなごたちも彼らのほうをちらちらと振り返っているようだった。

私は・・・・ 
 A. 犬千代と三成様を連れ戻す
 B. 秀吉様と二人っきりでいる

B. 秀吉様と二人っきりでいる (好感度Up!)

「あっ・・・」

丁度そのとき犬千代と三成様が可愛らしい女の子二人組に声をかけられた。

「気になる・・・・?」

「・・・・いえ、平気です」

そういうと、秀吉様にじっと顔を見つめられた後眉間をそっとなぞられる。

「ここは、そうは言ってないけどね」

気づかないうちに皺がよってしまっていたそこに優しく触れられ、一気に顔が熱くなる。

「こ、これは・・・・・物好きなおなごたちがいるなぁと思っただけで・・・」

「ふーん。エマちゃん嘘つくの下手だなぁ。・・・でも大丈夫、そのうちあいつのことなんて思い出せないようにしてあげるよ」

「ん?それってどういう・・・・」

意味?と聞く前に唇に人差し指を当てられ言葉を遮られる。
その感触と思考を見透かす様な瞳に、心がザワザワとうるさく騒ぐ。

「ね、残念だけど、花火は二人だけで見ることになりそうだね」

そう言って、全然残念そうに思っているようには見えないウィンクを向けられると、茶目っ気たっぷりなその仕草に胸がドキンと鳴り、つられて笑顔にさせられる。

「ほら、もうそろそろ花火始まるみたいだよ。場所を探して落ち着かないと・・・」

「あ、それならいい場所がありますよ!」

火照った頬も、鳴り止まない鼓動も、全て隠すようにして、秀吉様の腕をズンズン引いて、喧騒から少し離れた小高い丘を目指した。



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