秘めごと(夢小説)

□奥州で水遊び
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結局みんな濡れてしまった着物を近くの木にかけて乾かし、その間思う存分水遊びを楽しむこととした。
私も濡れた着物を丁寧に木にかけ、襦袢姿で川べりに腰を下ろし足先を水に浸し、川の中ほどにいる三人を見つめる。

大の大人が三人で年甲斐もなく水を掛け合いはしゃぐ姿に自然と顔がほころぶ。
いつもお城でお勤めをしている時には見られない無邪気な姿を目にし、この特別な瞬間を味わえることにどこか誇らしい気分になる。

成実「おい、エマ!お前もこっちに来いよ」

エマ「私泳げないですし、ここから見てるだけで結構です!」

成実「そんな興醒めするようなこと言うなよ!これは当主命令だ!ほら、政宗、何とか言ってやれ!」

政宗「エマ、成実の言うことは気にするな。お前が嫌なら無理はしなくてもいい」

成実「うんうん、そうだ・・・っておい、違うだろ!全くお前はエマに甘いな〜!小十郎、お前なら分かってくれるよな?」

小十郎「エマ、成実もああ言ってることだ。こんな機会めったにないし、お前も一緒に涼まないか?」

そう言って私のほうへ手を差し伸べる小十郎様の手を思わず握り返す。

小十郎様の笑顔には有無を言わせない何かがある。

それを知ってかしらずか、丁寧に私を引き寄せ、二人の元へと連れて行ってくれる。

ところが、二人の元へたどり着く直前、足元の大きな丸い石をつるっと踏み外してぐらりと体が傾く。

エマ「きゃっ!!」

小十郎「エマっ!」

小十郎様にぐいっと腕を引かれるも一歩遅く、私はばしゃーんと盛大に水中に尻餅をついてしまった。

政宗「大丈夫か?!」

すぐさま成実様も駆け寄り、私の手を引き起こしてくれる。

エマ「いったぁー・・・」

お尻を押さえながら立ち上がった私を見るなり政宗様はその隻眼をぎょっと見開き、途端に頬が真っ赤に染まる。
いぶかしげに成実様を見ると、「あー・・・、うーん・・・、えーっと・・・・」と歯切れ悪く、視線を宙に泳がせる。
何事かと請うように小十郎様に目をやると、腕を組み微笑みを湛えたまま、促すように私の胸元をちらりと一瞥する。

ん?と思いながら胸元に目をやるとその光景に思わず体が固まった。

白く薄い襦袢は濡れて胸元にぺたりと張り付き、ふくらみを柔らかくかたどって輪郭を露わにし、
水の冷たさからピンと勃った先端は襦袢越しにもその隆起と桃色が透けて見えるほど自己主張をしていた。

首元に張り付いた髪の毛から滴る水滴が胸の谷間に吸い込まれるのを四人時が止まったように見つめた。

エマ「・・・・・っきゃぁぁぁーーーっ!!」

その叫び声を皮切りに一斉に時が動き出し、私は瞬時に胸元を両手で覆いしゃがみこむ。

成実「わ、わりぃ・・・」

政宗様と成実様がくるりと後ろを向く一方で、膝裏に手が刺しこまれ体がフワリと宙に浮く。

エマ「ひゃっ・・・・・?!」

驚き固まる私を小十郎様が横抱きにし、そのまま川辺へと運んでいく。

小十郎「・・・・・また転ぶといけないから」

優しい微笑みに私は耳まで真っ赤にして顔をうつむかせ、大人しく小十郎様の腕にその身を預ける。

残された川の中では成実と政宗が共にしゃがみこみ、腰までどっぷりと水に浸かっていた。

成実「なぁ、小十郎のあれって、わざとかな・・・・。転ぶ前に助けることも、出来たよな・・・・・」

政宗「あぁ、出来ただろうな・・・・」

成実「俺しばらく水から上がれそうにないわ・・・・・。滝にでも打たれないとコレ治まりそうにないわ・・・」

政宗「あぁ、俺もだ・・・・」

成実「・・・・・・でかかったな・・・・」

政宗「あぁ、でかかった・・・・」

成実「・・・・なんか俺、夏、一気に好きになった。・・・・・・また来年もここ来ような」

政宗「あぁ、俺も同じことを思っていた・・・・」

二人のささやかな会話は清流のせせらぎに流されてエマの耳に届くことはなかった。


奥州で水遊び 終



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