秘めごと(夢小説)

□信玄様お誕生日物語・裏
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「私の"初めて"を、貰っていただけませんか……?」

部屋に招き入れられて早々、寝巻き姿でくつろぐ信玄様を前にそう言い放った。

「ん?いきなり何を言う。お前には俺より若けぇ幸村なんかのほうがいいんじゃねぇのか?」

ゆったりと居住まいを正し、口に運ぶ途中だった酒を下ろして真摯に続ける。

「それにお前生娘だろう?初めてで俺を受け止めるのは、かなり酷なことだと思うが……」

「それでも!私は信玄様がいいのです。
……ご迷惑でなければ、どうか、お願いします……」

細かく震える指先に力を入れ自分の帯をゆっくりと引く。

合わせが緩まり肩からはらりと寝巻きを落とした。

密かな想い人である信玄様の前に晒す生まれたままの自分の姿。

ひんやりとした部屋の中で心臓は破裂するかと思うほどうるさく高鳴り、沸騰した血液は瞬時に身体を桃色に染める。
信玄様の真意を測るような鋭い瞳に見据えられ、羞恥に潤む瞳でそれでもぐっと信玄様を強く見つめ返す。

「信玄様ならば、例え私が生娘であろうとも、優しく蕩けさせてくれる技を、お持ちではないのですか?」

「エマ、お前……」

「それに、……ここまで恥を晒した私に、どうかこれ以上惨めな思いを、させないで下さい……」

いくら気丈に振舞おうと思っても、さすがに語尾は震え、泣き出したくなる。

「……よし、いいだろう。良い心意気だ。お前、女にしておくのがもったいねぇくらいだな」

「えっ、それって……」

弾かれたように瞳を大きく見開く。
胸の高鳴りがうるさくてどうしようもない。

「据え膳食わぬは男の恥だ。それに、こんなにいい女を目の前にして何もしないで帰そうってのは到底無理な話だ。
お前の贈り物、ありがたく頂戴させてもらおう」

そう不敵に笑いすっと立ち上がると、力強い腕が私を簡単に横抱きにし褥へとまっすぐ運ぶ。

「わっ……!」

大胆なことをしてしまった自分と信玄様が受け入れてくれた事実。
これから始まる情事への期待と不安に胸がはちきれんばかりの鼓動を刻む。


信玄様は私を褥に寝かせると、真剣な声音でこう聞いた。

「口付けも、初めてなのか?」

「……はい……」

「俺を選んでくれたからには、後悔はさせねぇ。だが、俺を知ったら他の男では満足のできない体になるぞ。……それでも、いいのか?」

「信玄様以外は、欲しくありません……」

そう聞いて鋭かった緋色の瞳がふっと和らぎ困ったような笑顔を見せる。

優しい瞳が照れくさくて、思わず視線を伏せると、

「おい、今さら照れるのか?…お前は、本当に……、可愛いやつだ……」

そう言葉を紡ぎながら唇がやわらかく私のそれに落ちる。

「っ……」

啄ばむように何度も吸い付くそれは、虎なんて物騒な通り名を感じさせないくらい甘くて、切なくて、私の胸を引き絞る。


されるがままに唇を受け入れ、だんだんと緩んでくる隙間へ舌が滑り込んでくると。
驚く一瞬の隙をも逃さぬように、私のそれを絡めとり、一気に深まっていく。

「んっ、ふっ、んっ……」

甘く絡まる舌はほんのりとお酒の香りがして、私の頭は酔い始めのようにふわりとし、うまく働かなくなる。

唾液がつーっと糸を引きついに唇が離れると、名残惜しくてじんっと痺れる下唇を思わず噛んでいた。

「もっと欲しいか?」

信玄様の舌が色っぽく自身の唇を舐め取る様に目を奪われながら頷くだけの返事をすると、ふっと彼の口許が緩む。

顎、首筋、鎖骨と順に唇を落としながら自身の着物をさっと脱いでいく信玄様。

私のほうは唇が触れる場所全てが熱くて、息をするのも忘れるほどにじっと、それが落ちる先を見つめてしまう。

唇が左胸で止まると、私の胸の高鳴りは頂点に達し、きつく吸い付かれちくりとした痛みに脳がじんっと麻痺する。

「そんなに、緊張しなくていい。お前の嫌がることはしない」

囁きながら硬く無骨な指先が、ゆっくりと体の曲線を撫で下ろせば、ぞくりと肌が一瞬で粟立つ。

「っ……!」

さらにきつく唇を噛み締めていることに気づいた信玄様が舌先でなだめるように唇をなぞる。

「そんなに噛んだら、痕が付いちまうだろうが。我慢せず好きなだけ啼け」

下唇を甘噛みされ、優しく剥がされ。

胸の膨らみが 大きな手の平に包み込まれ指先が桃色の突起を掠めるようにくすぐり、もう片方は舌先でなぶられ口内でどんどんと硬さを増していく。

「っあん、んっ、あぁっ…!」

「そうだ。いい声だ。もっと聞かせろ」

自分の耳で聞くのが耐え難いほど潤んだ自身の吐息も、わざと唾液を絡めてねっとりと突起を吸い上げる水音も、私の体の熱をどんどんと上げていく。

指先が下肢を撫で上げると背筋が震え下腹が感じたことのないもどかしさを覚えた。
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