秘めごと(夢小説)
□秀吉様お誕生日物語
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お屋敷へ着くと、早速腕によりをかけて秀吉様の好物ばかりの夕餉を作った。
いつものように秀吉様はにこにことおかわりまでして美味しそうに平らげてくれる。
秀吉「あぁ〜、お腹いっぱい。今日もごちそうさまでした。エマちゃんの作る料理って何でも美味しいから、つい食べ過ぎちゃうなぁ」
エマ「ふふっ、私も、秀吉さまが美味しそうに食べてくださるから、ついいつも作りすぎちゃいます」
膳を片付け二人縁側に座りながら、満月にほの白く浮かび上がる桜を眺める。
エマ「そういえば、昼間おっしゃってた”して欲しいこと”って何ですか?あと数刻もしないうちに”今日”が終わってしまいますよ?」
秀吉「そうだね、じゃぁ、一つ目のお願い。今日俺が選んだ着物、纏ってきて?真っ赤なりぼんで髪を結って、俺が選んだ紅を引いてさ。俺のために綺麗になってきてよ。……それで酒でも一緒に飲みたいな」
エマ「は、はいっ。では、急いで支度してきますね」
秀吉「あ、エマちゃん、ちょっと待って」
赤くなった頬に気づかれぬようそそくさと立ち上がろうとする私の腕を掴み、秀吉様は内緒話でもするように唇に耳を寄せてくる。
秀吉「ねえ、エマちゃん。男が女に着物を贈るってどういうことか、聞いたことある?」
ふるふると首を振る私により一層唇を近づけ、吹き込まれた低い声にぞくりと鳥肌が立った。
秀吉「脱がせたいから、……なんだってさ」
一気に顔が火照り目を見開く私を解放すると、冗談めかしたように彼は続ける。
秀吉「ははっ、なんて、どこまで本当かわからないけどね。でも、俺のために綺麗になったエマちゃんは見たいな」
明るく穏やかな笑顔を向けられても私の胸はうるさいままで、鼓動を押さえつけるように胸に手を当てて着替えへと向かった。
――自室へとたどり着き着替えている最中、思い出されるのは秀吉さまの潜めた声と、耳にかかる熱い息。
待たせてはいけないと急ぎながら手際よく身支度を整える。
姿見に映った私は、いつもは付けないほど鮮やかな濃い紅のせいか、紅潮した頬のせいか、自分でも色香を増しているような錯覚を覚えた。
今夜はきっと……。秀吉様と……。
――間違いなく訪れるであろう快楽の時を思い体が火照るのを止められなかった。
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