秘めごと(夢小説)

□秀吉様お誕生日物語
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もたれかかるように気を失うエマを抱きとめ、秀吉は感嘆したように息を吐く。

秀吉「すごい、効き目だったな……」

いつもの受身なエマとは違って、貪るように自分を求める姿。

通常より熱い体温、貪欲に自ら快楽を求め腰を振り、絡みつくようにぎゅうぎゅうと締め付けるナカ。

エマが着物を変えている間に用意した光秀から貰ったという酒。
媚薬効果があるとの曰く付きのもので、

「エマと心ゆくまで楽しみなさい」

という言葉とともに誕生祝として頂いたものだった。

「こんなもの無くても、エマちゃんと過ごす夜には満足していたけれど……」

エマの知らなかった一面を知ってしまった今、彼女との情事にさらにどっぷりと嵌ってしまいそうで。
考えただけで、エマの内側に残ったままの自身が今一度頭をもたげそうになる。

「さすがに眠ってるエマちゃんのことは襲えないな」

苦笑を浮かべながら、くったりと幸せそうに眠るエマを抱え上げて褥へと向かう。

「これ以上満ち足りた誕生日は今までなかったかも……」

そう零した声は春の夜風に浮かび舞い落ちる桜の花びらと交じり合う。

夜空に浮かんだ月は優しく見下ろし、ひっそりと囁かれた本音に耳を済ませていた。



――ふと気づくと褥の中、心地のよい胸に抱かれていた。
買っていただいたばかりの着物は頭上に畳まれ、裸の肌は馴染むようにお互いの体温を分かち合っている。

スヤスヤと寝息を付く秀吉様を見上げ、数刻前の情事に思いを馳せる。

今までにないぐらい気持ちよくなって、自分とは思えないくらい乱れてしまった……。

最奥に感じた熱と切なげに私を見つめる瞳を思い出して身体が再びジンッと疼き始める。

一体、どうしちゃったんだろう……。身体、おかしい……。

けれども、安らかに眠っている恋人の眠りを妨げたくなくて。
目覚めたらこの疼きを癒して欲しい、そう思いながら、逞しい胸に唇を寄せる。

とくりとくりとなる心臓に優しく口付け、生まれてきてくれてありがとう、と小さくつぶやく。

また来年も、いや、これから何年も一緒に誕生日を祝えられますようにと願いながら頬を寄せ瞳を閉じた。


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