秘めごと(夢小説)

□才蔵さんお誕生日物語
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エマ「あっという間に、散ってしまいますね」

俺の脚の間で膝を抱える可愛い恋人は、もの悲しげにそう呟く。

そんな言葉につられて、肩口に埋めていた顔を上げると……。

目の高さで夜風に揺れる桜の枝は、桃色よりも緑が多くて、季節が移ろいで行く早さに改めて気づかされる。

めったにお願い事を口にしない彼女に、全て散る前にもう一度見たいとねだられ、こうして夜遅く人知れぬ屋根の上で二人過ごす。
傍に置かれた皿には沢山の食べ終えた団子の串。

どうせ来年もまた咲くでしょ、そう言いかけて、
エマにとっては来年咲く桜よりも、今俺とこうして一緒に見ている桜が確実で、大切で。
だからこそ散ってしまうことに人一倍感傷的になっているのだと気づいた。

……長いこと俺の恋人でいるうちに、未来を期待しない癖をつけさせてしまったのか。

守れない未来の約束はしない主義だけど……。

エマとの未来ならば、あえて口にすることで、言霊の力を借りるように絶対に守らなくてはいけないという気がしてくる。

―――悲しい顔は、させたくないからね。

才蔵「来年も見に来ればいい。……また団子、作ってよ」

そんな俺の言葉にぱっとこちらを振り向き、顔をほころばせるエマ。

その笑顔を守るためなら、死んでも約束守らないとね……。

俺の心のうちを知ってか知らずか、しっかりとお腹に回していた腕の中で身をよじり、膝立ちになり俺と向かい合わせになるエマ。

エマ「才蔵さん、嬉しい.……」

俺の首に腕を回すと小鳥がついばむような口づけを何度も落としてくる。

こんな風に素直な喜びを伝えてくるエマは、嫌いじゃない。

才蔵「ふうん。もう桜はいいの?ようやく俺のことを見る気になった?」

エマ「ふふっ、才蔵さん、桜にやきもちですか?」

流れていく花びらを追いかける、愛しげに、切なげに、細められた視線を独り占めしたかったのは事実。

才蔵「別に。桜を見てるだけじゃ気持ちよくはなれないでしょ?」

エマ「でも満たされた気持ちにはなりますよ?」

才蔵「そ。俺なら別の方法で、お前さんのこと満たしてあげられるけど?」

着物の裾から両手を差し入れ、桃のように柔らかい尻を意味ありげに揉み上げる。

エマ「ッ……!そ、それは……」

ふっ、簡単に赤くなる。

大きく見開き潤む瞳も、舞い散る桜よりも鮮やかに色づく頬も、俺だけが知っていること。

エマ「……そうかもしれないけど……、でも、今夜は、私に才蔵さんを、……満たさせてください」

才蔵「っ……」

不意を付くような挑発的な言葉は、俺の欲望に火をつけるのには十分で。

才蔵「へぇ、いいよ。……お前さんの好きにしな」

一瞬高鳴った鼓動を悟られぬよう、仮面を被りいつものように飄々と言い放つ。

顔を赤らめたエマは俺の唇にそっと自分のそれを重ねてから、頬へ、首筋へと滑るように、柔らかく吸い付く。

着物の襟を遠慮がちに緩め、露わになった鎖骨をつーっと舌でなぞり、熱を閉じ込めるように唇で封をする。

才蔵「…………」

徐々に下方に落ちていく唇は俺の胸の先を捉えると、舌先でねっとりと唾液を絡ませ、細い指が繊細に刺激を与え、否応なしに先端はそれに反応して硬くなる。

……あーあ、まったく誰に教わったんだか。

赤い舌先を肌に這わせながら時折俺の表情を伺うかのように上目遣いに覗き込まれると、その色気にクラリと眩暈がする。

無意識にそんな表情してるのなら、タチが悪い。

今すぐ組み敷きたくなる欲を抑えながら、与えられる刺激を満喫する。

足の間に顔を落としていくエマは、不自然に持ち上がった裾に手をかけると律儀に聞いてきた。

エマ「ココ、いい、ですか……?」

才蔵「いったでしょ。……好きにしなよ」

遠慮がちに裾を捲り、薄い布を持ち上げていたそれと対面すると、エマは細い指先でしっとりと包み込み、一度俺に目線を寄こすと愛しむ様に先端に口付けを落としていく。

ちゅ、ちゅ、ちゅ……。

薄い皮膚に吸い付き、舌先で上下にくすぐり、小さな唇は俺を包み込もうとはしたなく開かれて……。
ひれ伏す上半身とは逆に誘うように突き上げられた下半身。

才蔵「んっ……、いい眺め。……こっちに尻寄こしなよ」

エマ「だめです、才蔵さんに、ふれられたら、しゅうちゅう、できなくなる」

才蔵「誕生日だからって、こんなにしなくてもいいのに」

エマ「いいえ、私が、したいんです……」

才蔵「馬鹿だね」

顔にかかる髪をすくって耳にかけてやる。

壊れ物を扱うように丁寧にさすり、隅々まで舐めまわし、咥内に含む様は、愛撫という言葉がぴったりとくるようで、愛を感じるからこそ快感が二倍にも三倍にも増幅されていく。

エマ「さいぞ、さん、きもちぃっ……?」

才蔵「……うん、今すぐイれたい」

にっこりと目元に弧を描くと、エマは名残惜しげに最後に先端をちゅうっと吸い、顔を上げると、自身の裾をたくし上げ俺に跨った。

片手を俺の肩にあて上半身を支え、もう片方は熱く硬い俺をしっかりと握り自身の入り口へと導く。

才蔵「触れてやってないのに、もう準備いいの?」

エマ「きもちよさそうな、才蔵さんを、見てるだけで、……んっ、もっ、じゅうぶん、濡れて、ますっ……」

内側の形が分かるほどゆっくりと沈められていく腰が俺の内腿に重なって、俺を全部呑み込んで。

才蔵「……ねえ、ここがどこか、わかってる?」

意地悪くそう聞くと、つやりと唾液に濡れた唇は、「屋根の、上です」とため息交じりに答える。

くくっ、と思わず笑みを零すと、振動が伝わったのか、エマがピクリと腰を浮かせた。
腕の中にきつく抱きしめ、押し付けるように根元まで全部埋めて。

才蔵「動かなくていい。もう少しだけ、このまま……。エマの中、安心する……」

エマ「っ、さいぞ、さんっ……」

安心なんて言葉が出てきたことに自分で驚く。

激しさは無いのにじんわりとお互いの熱を溶け合わせるような、愛が隅々まで行き渡るような満たされた心地。

襟をはだけ幼子のように胸元に鼻先を埋め、柔肌を舌で弄びきつく吸い付く。

その度にびくりと跳ねる身体を一層強く抱きしめて、逃げられないようにがんじがらめに閉じ込めて。
堪らず天を仰ぎ、月明かりの下露わになるエマの首筋は、目を奪われるほどにくっきりと春の夜空に映える。

ゆっくりとエマを揺すり、奥を突き、中をかき混ぜると……、

エマ「あ、ちょっと待って。声が、出ちゃぅ……」

才蔵「今更やめてなんてあげられないよ。俺の肩でも噛んでな」

エマ「んっ、そんなのっ、できなっ、あっ、やっ……」

才蔵「ちっ……」

頑なに俺の肩を咥えない唇を自らのそれで塞いでやる。
舌を絡ませ、吐息を奪い、くぐもった喘ぎは鼻から抜けて夜空にそっと消えていく。

胸元に散らされた数え切れないほどの紅い桜はエマが浅く息を吐くたび上下に揺れて。

強めの夜風に今年最後の桜吹雪が起こり、二人の姿を朧月からふんわりと隠す。

一年に一度の大切な日を、今を生き、本能のままに愛を確かめ合い、育み、祝う二人を、堂々とたたずむ桜だけが優しく見守っていた。

おわり


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