血桜鬼
□第2話
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その日の夜、屯所の外から奇妙な気配がした。
『この気配は…レブナントか。』
気配の主を察知し、障子を開けて庭を伺っていると、
「…起きてたのか。」
土方さんが通りがかった。
『奇妙な気配が二つ外に出ていったので。』
「…お前は部屋で寝てろ。後で話してやる。」
『待ってます。でも早くしないと。二つの気配は凄い速さで屯所から遠ざかりましたよ。』
土方さんは緊迫した表情になり、
「外に出んじゃねぇぞ!」
そう言って走っていった。
『(どうしょうかな。気になるし…行くか。)』
そう思い立つと私はセーラー服に袖を通した。
そして空を飛ぶ。
吸血鬼は本当は凄い能力を持っている。
傷の治りが早いし、空を飛ぶこともできる。
純血だけはその力も大きい。
私は学校の帰りは飛んで帰ったりしていた。
空から座る形で町を眺めていると、
『レブナントに男装した女の子が襲われてる…でも地面に下りたら皆びっくりするし何より…土方さんに怒られる…』
吸血鬼は本当は自由な生き物だもん。
そんなの関係なく動きたい。
しかし新選組以外頼るところもないので、我慢するしかないのだ。
少しすると、新選組の沖田さんと斎藤さんが来た。
レブナントを斬り殺す。
正確に言えば、心臓を一突きに首斬り。
残酷に見えるけどこの時代普通のことだと私は自分に言い聞かせる。
その時、その男装した女の子の気配が人間とは違うことに気が付く。
『…もしかして鬼かな?』
私の家には日本古来から鬼という存在がいたという記述の書物があり、私は満十歳になったのをきっかけに聞かされていた。
日本古来からいた鬼は傷が治る、身体能力が人間より優れていることだけは吸血鬼と同じだが、空を飛んだりできる時点で吸血鬼の方が能力的には優れている。
新選組の皆が連れ帰ることになったのは鬼の少女だった。