血桜鬼

□第8話
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慶応三年十一月ー…
地獄のような夏が過ぎ、冷たい木枯らしが吹き荒れるようになった。
政治の方では大政奉還が起きたらしい。
教科書の出来事を体験してるのは凄いなぁと思うけど、私は日本史嫌いだからよく分からない(笑)




今、千鶴は原田さんの巡察について行った。




私はというと、今日は少し日差しがキツイから部屋でじっとしている。
そしてたまに庭に出て日に当たり、身体を慣らしていた。






『このくらいにしとくか。土方さんにお茶持ってく時間だ。』






私は土方さんの部屋にお茶を淹れて向かった。






『土方さん、妃奈です。』




「入れ。」






返事を聞くと私はお茶を持って中に入る。
入るといつものように机に向かい、休む暇なく筆を動かす土方さんがいた。
私は土方さんの邪魔にならない位置に湯飲みを置いた。




すると土方さんがこっちを見た。






「顔色が悪いが大丈夫か?」




『ああ、少しでも身体を慣らしておきたいのでさっきまで日差しを浴びてたからでしょうね。
後で部屋でゆっくりすれば大丈夫です。』




「日差しか……羅刹も日差しが駄目だが、それは体質的なもんなのか?」




『私は慣らしていたからまだましですが……まぁ、体質です。
慣らしてない吸血鬼は昼間は全く外に出られないくらいです。羅刹が昼間外に出られないのは当然です。』






そう。私は産まれて物心ついた頃から日差しを浴びるようにして過ごしてきた。
長い時を得ないと日差しの克服は難しい。だから羅刹は無理だ。






『じゃあ私失礼しま………』






ドクンッ!!






『っ………!!っはぁ……はぁ……!』




「!?どうした!?」




『ち……近付かないで……ください……ただの吸血衝動……はぁ……』




「…血………か。……おい、俺のを飲め。」




『はぁ……嫌です。私が何のために……今まで我慢してたと……』




「お前………」






血を吸ったら化け物って罵られる気がして怖い。
でも血は欲しい。




でもー…






『っかはっ………』




「妃奈、お前はお前だ。化け物だなんて俺は一度も思ったことはない。」




『っ………!?土方さん………?』




「俺なら大丈夫だ。辛かっただろ。飲め。」




『ありがとうございます……あっ……刀で傷つけなくてもいいです………っ、
噛むので………首筋を出してくださればいいです。』




「そうか?………ほら。」






首筋を出した土方さんはなんか色っぽい………首筋綺麗………(ガン見)






「早く飲めって。俺を信じろ、大丈夫だ。」




『はい………、はぁ……』






土方さんに押されて私は土方さんの綺麗な首筋に牙を立てた。






「ぐっぅ………!」




『んっ………』






私は少し吸うと牙を抜いた。




見上げると土方さんと目が合った。






「もういいのか?」




『っ………はい。美味しかったです………』




「なら良かった。口に血がついてるぞ。」




『えっ!?』






飲み損ねたんだ………恥ずかしいなぁ……




そう思っていたら、土方さんがいきなり私を抱きしめた。






『えっあの、え、え、え?』




「お前は化け物じゃねえさ。俺たちの仲間だ。そうだろ?妃奈。」




『っ!!………はいっ!!』






私はまた土方さんに救われた。




土方さんは不思議な人だと思った。






「また吸血衝動が出たら俺のとこに来い。血くらいやるから、一人で我慢すんじゃねえ。いいな?」




『はいっ!ありがとうございます、土方さん!』






土方さん、私あなたが好きです。
思うくらいは自由ですよね?
その後、私は土方さんの部屋から出て廊下を歩いていた。




すると、前方から斎藤さんが来た。






『お疲れ様でした。』




「ああ。」






また長い夜が始まる。
そういう予感がしたー…





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