血桜鬼
□第15話
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土方さんに別れを告げられた後、私はある地に向かっていた。
その地は……
雪村の里
『あ。』
私は山の中を歩き回っていると一つの家を見つけた。
私は足早に走り寄る。
すると、草花の上に仲良く寝転がって昼寝をしようとしている若い男女の姿が見えた。
「気持ちいいね、千鶴。」
「はい、総司さん。」
薫に打ち勝って幸せを手に入れた沖田さんと千鶴の姿だった。
私は悪戯心で気配を消して二人に近寄る。
そして二人の真上から顔を覗き込んで声をかけた。
『や。久しぶりだね二人共。』
すると二人は固まった。
一拍置いて二人は驚愕した。
「「妃奈ちゃん!!?」」
『仰る通り如月妃奈です。』
「どっかで聞いた台詞だね…;」
二人は昼寝をやめて起き上がる。
千鶴は起き上がるなり抱きついてきた。
「妃奈ちゃーん、良かった無事で……!」
『あはは千鶴もね?』
立ち話もなんだからと家に入れてもらい、お茶をもらった。
千鶴は相変わらず気が利くなあ。
「ところで……土方さんは?」
グサッ
今、私のハートに矢が刺さったよ。
直球すぎるよ千鶴。
まあ包み隠さず正直に答える私も私だが。
『置いて行かれた。』
「「え?」」
二人は置いて行かれた経緯をしっかり聞いてくれた。ありがたいな。
全てのあらましを聞いた沖田さんはため息を吐いた。
「幸せにできない、って……土方さんも馬鹿だね。土方さんの側にいることがこの子の幸せなのに。」
「土方さんが悪いです! 妃奈ちゃんは悪くないよ!」
『ありがとう二人共。』
私はやっと一息ついた感じだった。
すると千鶴は私が持ってる太刀に気付いた。
「妃奈ちゃん、その刀……」
『あ、うん。【上総介兼重】だよ。』
「平助の刀を妃奈ちゃんが持ってるってことは……」
『……二人は仙台城で羅刹を絶やした後、灰になって死んだよ。』
そう言うと千鶴は悲しそうに目を伏せた。
沖田さんも残念そうな顔をしていた。
私は付け加えた。
『二人共、新選組でいられたことが誇りだったって。満足そうに笑って逝ったよ。』
「っ……平助君、山南さん…」
千鶴は涙を流し、沖田さんはそんな千鶴の頭を撫でていた。
私は平助君の刀を見た。
平助君、私必ず土方さんの元に帰ってみせるからね。それまで待っててね……
私は窓の外に見える夜空を眺めた。