血桜鬼
□第1話
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斎藤さんは私に似合いそうな紺色の着物と薄水色の袴を取り出した。
「着付け方は分かるか?」
私は頷いた。
着物や袴は剣道をしていたからよく着ていたし。
「じゃあ、着替えたら教えてくれ。一緒に広間に行こう。」
『分かりました。』
そう言うと斎藤さんは部屋の外に出た。
『さて、着替えよう。』
手際良く着物を着た。
『男なんだから髪結ばないと…』
手首に付けていた輪ゴムを取り、髪を結った。
『あ…ピアス見えちゃう…でも耳たぶに穴開いてたらみんなびっくりするよね。』
私の家では満十歳になると、吸血鬼一族の証だということで家紋の入ったピアスをつけることになっている。
もちろん私も吸血鬼なので当然つけている。
『(仕方ないか。)』
セーラー服を畳んで、斎藤さんに声をかけた。
『斎藤さん着替えました。』
「っ…!///」
斎藤さんは目を見開いて、顔を赤らめた。
『どうしました?早く行きましょ。』
「あ、ああ…」
広間に行くと、みんなが固まっていた。
『どこか変ですか?』
「ずいぶん雰囲気が変わってみんな見とれているんですよ。」
『え!?』
そう言われ、周りを見るとみんな口を半開きにして顔を赤らめていた。
『(なんか照れるなぁ…恥ずかしい…)』
そう思っていると、
「…耳につけてるの何?」
そう言って沖田さんは耳に顔を近付けて来た。
『(わ…沖田さんって凄いかっこいい…切れ長の垂れ目で鼻も口も整ってて…) 』
つい見とれそうになったが質問に答えた。
『ピアスっていう未来の耳飾りです。私は家の決まりで子供の頃からつけてますけど。』
「どうやってつけてるのコレ?」
『この時代はあり得ないと思いますが、耳たぶに穴を開けてその穴にピアスを通してつけてます。』
「え…痛そう…痛くない?」
『開ける時は痛かったです。でも今は馴染んでますから痛くもなんともないですよ。』
「未来ってスゲーな…」
みんな感心して耳を見ていてくすぐったかった。
『そういえば、私は屯所で何をすればよいのですか?』
「そうだな…じっとしているのは暇だろうしな…」
「土方さんの小姓になればいいんじゃないの?」
「総司、何言って…!」
「おお!それはいいな!トシはいつも無茶をするから君のような女の子が小姓としてそばにいてくれると安心できる!」
「確かに。副長はいつもお疲れですし、小姓がいた方がいいですね。」
「近藤さん…山南さんまで…」
『じゃあ、土方さんの小姓やります…!』
「じゃあよろしく頼む!」
「…仕方ねぇな…」
こうして私は土方さんの小姓となった。
これがこれから長い付き合いになる新選組との始まりでした。