血桜鬼

□閉話2
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私達は芸者になって、お互いを見比べていた。






「妃奈ちゃん……綺麗。」



『千鶴可愛い……』






お互いを見比べて褒めあっていると






「二人共、褒めあうのもいいけど、男共に見せようか。」




『そうだね。じゃあ千鶴から!』



「えっ!? お千ちゃん本当にどこもおかしくない?」




「大丈夫、二人共すっごく綺麗になったから。きっと皆びっくりするわよ。」




『「そ……そうかな……?」』






芸者の着物なんて初めて着たし、帯も袖も結ってもらった髪も普通の着物より凄く重い。
芸者さんってすごいなぁ。




二人共まだ自分の姿を鏡で見てないから不安なのだ。
先に千が皆が待ってる部屋に入った。






「お待たせしました!二人共凄く美人になりましたよ!」






そう言って千は千鶴を皆の前に連れ出した。




すると、部屋の空気が固まる音がしたような気がする。







「な、なあ、そこにいるのって、千鶴、お前……なのか?」






平助君が驚きに目を見張りながら千鶴に問いかける。






「う、うん、そうだけど……やっぱり、変……かな?」




「い、いや、そんなことねえって!むしろーー」




「いや、驚いたな。着物や化粧でこんなにも見違えるとは……普段の君とは別人のようだ。」






皆口々に千鶴を褒めている。




千鶴は恥ずかしいのか俯いたままだ。




すると、千が隠れている私の手を握り






「次は妃奈ちゃんの登場でーす!こっちも綺麗になりましたよ!」




『わわっ!千引っ張らないで!』






私は半ば強引に皆の前に引っ張り出された。




皆は私の芸者姿を見てまた固まっていた。






『どうしたの皆?』




「妃奈……すげぇ綺麗……」




『へ、平助君!?』




「なかなか似合ってるんじゃねえか?そのまま座敷に出ても違和感ねえな。」




「へえ……化けるもんだね。二人共一瞬誰だか分からなかったよ。」




『土方さん!?沖田さんまで冗談よしてください!』




「冗談じゃねえって。……元がいいからな。綺麗だぜ二人共。」




『原田さん……』




「う、嘘だろ……?いつもとまるっきり別人じゃねえか。俺が今まで見てたのは一体……」





永倉さんだけいっぺんしめるか。後で痣だらけにしてやろう。




千鶴はまだ顔が上がらない様子。




やがて千が私達の方を振り返り、段取りを説明してくれる。






「あなた達には芸者として角屋に詰めてもらうことになるわ。」




「お、お客さんに付く時はどうすればいいの?芸者さんって確か舞とか楽器ができなきゃいけないんじゃ……」






確かに。千鶴の言う通りだ。現代の芸者さんもできなきゃいけないし……そこは昔から変わらないんだな。






「本来ならそうどすけど……素人のお嬢さんにそこまで求めるのも酷やし、お酌だけで結構どす。」




「そうですか……」




『私、琴なら弾けますけど。』






私の言葉に皆がびっくりした意外だ言わんばかりの顔をした。






「じゃあちょっと弾いてみて!妃奈ちゃんの琴聞きたいなぁ!」






千のお願いもあり、琴を弾くと皆から感嘆の言葉等が飛んできた。琴は趣味でやってたんだよね。役に立つ日が来るとは。






「もし何かあったら屯所まで文をよこしてくれ。
手紙を受け取った隊士を客として行かせるからそん時に状況を詳しく報告してくれりゃいい。」




「念のため、斎藤と山崎を角屋に待機させとく。
もし万が一の事態が起こったら奴らに助けを求めろ。……いいな。」




『了解。』






その後、私達は千と君菊さんに連れられ島原に向かうことになった。




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