曼珠沙華の花束を貴方に
□第十三話、取り越し気苦労
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あの野郎、饅頭なんか自分でリコリスに渡しに行きゃいいもんをなんで俺を使うかね。
ターレスにしては珍しく狼狽した様子だったし……なにかあったのか?
親父に聞くつもりだったのに、ついうっかり忘れちまった。
なんとなく歩こうかと思い、着地したときだった。
「よう、ラディッツ!」
「ぎゃあ!!」
突然目の前にカカロットが現れた。
貴様はいつもいつも……
「突然出てくんじゃねーよ!!」
「わりぃな、おめぇの気が一番わかりやすいんだ!」
あっけらかんと笑うカカロット。
……そういや初めてこいつに会いに行ったとき、俺は極悪キャラだったはずだ。
なんでこんないい人ポジションぽくなっちまったんだ?
「ちゅーかラディッツよぉ、リコリス知らねぇか?」
「その瞬間移動とやらでリコリスんとこ行きゃいいじゃねぇか」
「そんなことしたら、あいつ驚かせちまうだろ」
俺はいいのかよ。
「……さっき会ったぞ、血の池の方だ」
「サンキュー!」
「待て待て!!」
足早にここを去ろうとするカカロットを引き留める。
兄ちゃんはリコリス案内係かコラ。
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