曼珠沙華の花束を貴方に

□第十六話、君と眺めた花畑
1ページ/7ページ


ひとりの時間はここに来て初めてかもしれない。

忙しすぎて呑気にぼーっとしてる暇すらなかったから、歩きながらいろいろなことを考えていた。
私の記憶のこともそうだけど、閻魔様にオニの仕事内容聞いてなかったなーとか、ここのみんなの……特に、セルさんのこと。

あのクウラさんたちから助けてくれた一件から今まで会ってないし、改めてお礼も言いたいんだけど……
さっきからずっと歩いてるのに、人魂くらいしか見当たらない。
こんな調子で会えるのかなぁ。

「リコリスーーーっ!!」

ため息をついたとき、上空から大声で名前を呼ばれた。
見上げると天使のような小悪魔がこちらに向かって突進してきていた。

「あ、ジュニアくん!」

「リコリス!リコリスっ!
会いたかったーっ!!」

セルジュニアは私の目の前でスピードを緩め、ぎゅうっと抱きついてきた。

「あはは、私も会いたかったよ!
今日はひとりでなにしてたの?」

抱きしめ返して頭を撫でてあげるとジュニアは嬉しそうに笑い声を漏らした。

「えっとねぇ、ラディッツで あそんでたんだあ!」

ラディッツと、じゃないのか……
おもちゃにされてるなぁ、ラディちゃん。
というより好かれてるのかな?


.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ