short

□絆された冷酷
1ページ/2ページ


誰だって服従させて、なんだって思い通りになった、してきたはずだった。

こいつだってそうだった。
……はずなのに。


絆された冷酷



「あー!クウラ様ーー!!」

能天気に俺を呼ぶ馬鹿でかい声。
あいつしかいない。
俺の頭痛の種、***だ。

「なんだ、騒々しい」

振り向けばそこには馬鹿みたいに笑う***がいた。

「クウラ様ってば、ほんっとーに無愛想ですよねぇ。
ニコッとでも笑ってくれたらいいのに、鉄仮面なんだから」

「言いたいことはそれだけか、消えろ」

「いっだああああい!!!」

ころころと笑う***の腰を尾で叩きつけてやる。
……もちろん、加減はしているつもりだ。

「乙女に向かって手をあげるなんて最低ですよ、クウラ様!!」

「手ではない、尾だ。
それに貴様は乙女でもないだろうが」

ふん、と素知らぬ振りをして自室に向かい再び歩き出す。
そうだ、***は乙女ではないな。

「クウラ様の馬鹿!もう知らない!!」

「そうか、それは困ったな」

振り返って止めの破壊光線。
わかってる、あいつはしっかり躱すだろう。

「あっぶなー!!……もう!
嫁入り前の身体に傷がついたらどーしてくれるんですか!?」

どーしたもこーしたも俺には関係ない。
歩を緩めない俺と喚く***を見てドーレとサウザーは苦笑している。
***も懲りないな、とでも言いたげな表情だ。
あいつは……ネイズに八つ当たりする元気があるようだし大丈夫だろう。

……あぁ、腹が立つ。


.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ