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□見合わない対価
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いつも休日前の夜は、予定が決まっている。
酔い潰れた***を迎えに行く、という予定。
見合わない対価
いつものバーの扉を開くと、いつもの席で、いつものように突っ伏している***を見つけた。
オレは、そっと揺り起こす。
「迎えにきた。帰ろう」
「ゔぇ〜……あど一杯ぃ……」
「もう飲めそうにない、帰ろう」
「やだぁ……ブロりんも飲もうよぉ」
泣き真似をする***。
可愛いけど、ダメ。飲ませない。
「オレの家に帰ろう、***」
名前を呼ぶとやっと諦めたようで、***は上目遣いでオレの首に手を回した。
「ん……いくぅ……」
……***、オレだって健全な男子。
そんなとろんとした目で、そんな声で、そんなこと言わないで。
……
あわわ……こんなこと考えてたら、***に嫌われちゃう。
「……ブロりん?」
「はい」
「帰ろぉ」
「はい……」
違うこと考えなきゃ……
えっと……支払いはもう済ませてあるはずだから、オレは***を連れて帰るだけ。
連れて帰るだけ、連れて帰るだけ……
べったりくっついてくる***を介抱しながら店を出る。
背後からいくつもの視線を感じるけど、これもいつものこと。
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