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□その笑顔の真意
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「やったー!ババひいた!」

「ババはわるいカードだろー!」

「えぇ〜……じゃあママにあげる!」

私は今、ババ抜きに興じている。
七人の子どもたちに囲まれて。
……といっても自分の子どもじゃない。
彼は『生殖』器など、持ち合わせてないのだから。


その笑顔の真意



「あのねぇ七号、ババがどれかなんて教えちゃ駄目なんだよ?」

「だっておしえないとママ、とれないじゃん」

上目遣いで早く取って、と言わんばかりにカードを差し出す七号。
あああ可愛い。
そんなことされたらもう、取ってあげるしかないじゃない。

「キヒヒ……ありがとっ」

七号はしてやったり、という笑顔を見せた。
私の弱みをピンポイントで突いてくるところはパパそっくりだな。

「次、三号ね」

「じゃあ……」

一枚のカードをつまんで私の顔を見る三号。
そしてそのまま指をスライドさせて隣のカードに触れた。
あぁ、それはジョーカー……
……と思ったら、三号はそのまた隣のカードを持って行った。

「やったあ!オレあーがりっ!」

「むぅ、勘づきおったか」

「かおに出るからすぐわかるんだぜ。
ママはババもったときだけ、『それはダメー!』ってかおするからな!」

肘をついて二号はドヤ顔で言う。

「嘘!そんな顔してないよ!」

「ギャギャギャッ!
気づいてないだけだよーん!」

キャッキャウフフと盛り上がっていたら、ドアが開く音がした。
……セルだ!


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