曼珠沙華の花束を貴方に

□第一話、天上へ送る花火
2ページ/3ページ


「あぁ、あった。なかなか裏技みたいな能力だな……
端的に言うと『目を合わせた者を魅了する能力』だ」

何ですかそれ、本当にチートみたいな能力。
ぽかーんとしている私を差し置いて閻魔様は続ける。

「一応条件があるようで、三秒間は目を合わせ続けねばダメなようだがなぁ。
記憶にないか?人や動物にやたら好かれた、とか」

「……あー」

そういえば、ある。
幼い頃から人間であろうが野生動物であろうが関係なく好かれた記憶が。
さっきから閻魔様があんまり目を合わせてくれないのも合点がいく。

「そこで、だ。
最近地獄に極悪人どもが増えてなぁ、オニ達が手こずってるようなんだ。
力を貸してくれないか?」

そんな『能力』しか持たない善良な人間を極悪人の巣窟に放り込むなんて、この方こそ本当の極悪人ではなかろうか。

「イヤです」

「じゃあ地獄ゆきだ」

「なんで!」

ますます意味がわからない!
虫も殺せない私が地獄行きならそれはもう地獄は人でごった返してるでしょうね!!

「自分の死因も覚えとらんのか?
……まぁ稀にある一時的な記憶喪失だろうが……」

地獄行きに死因が関係してる?
ってどういうことだろう。


.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ