曼珠沙華の花束を貴方に

□第八話、役立たずの帝王学
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あてもなくリコリスを探して飛び続ける。
ギニューたちに探させればよかったかとも思ったが、それじゃ意味がないような気がして。
この宇宙の帝王だったフリーザ様がひとりの女を自ら探して飛び回るだなんて、昔のボクが知ったら聞いて呆れるだろう。

それでもボクはどうしてもリコリスの姿が、笑顔が、瞳が見たくなって飛び続けていた。

そんな時、遠くの方にあのむさ苦しい髪型を発見した。
兄弟だし、孫悟空の居場所くらい知ってるだろう。
聞いてみることにしてスピードを上げた。
……まぁ、ボクはいくら兄弟でも兄さんの居場所なんか知らないし、知りたいとも思わないけどね。

「お待ちなさい、ラディッツ」

「げっ」

げっ、とは何だ。げっ、とは。
しかし奴の前に回ってやっと気づいた。
……見つけた。

「フリーザさん?」

先ほど会った時とは少し雰囲気が違う気がするリコリスを。
心なしか元気がないような……

「……ラディッツ、リコリスさんに何か?」

「いや、こっちのセリフだし……
なんなんだよ、俺らに用か?」

「あなたに用はありません。
それとも何か、その暑苦しい髪でも切ってほしいのですか?
……私が聞いているのはリコリスさんに何かしたのか、ということです」


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