曼珠沙華の花束を貴方に
□第八話、役立たずの帝王学
2ページ/6ページ
あてもなくリコリスを探して飛び続ける。
ギニューたちに探させればよかったかとも思ったが、それじゃ意味がないような気がして。
この宇宙の帝王だったフリーザ様がひとりの女を自ら探して飛び回るだなんて、昔のボクが知ったら聞いて呆れるだろう。
それでもボクはどうしてもリコリスの姿が、笑顔が、瞳が見たくなって飛び続けていた。
そんな時、遠くの方にあのむさ苦しい髪型を発見した。
兄弟だし、孫悟空の居場所くらい知ってるだろう。
聞いてみることにしてスピードを上げた。
……まぁ、ボクはいくら兄弟でも兄さんの居場所なんか知らないし、知りたいとも思わないけどね。
「お待ちなさい、ラディッツ」
「げっ」
げっ、とは何だ。げっ、とは。
しかし奴の前に回ってやっと気づいた。
……見つけた。
「フリーザさん?」
先ほど会った時とは少し雰囲気が違う気がするリコリスを。
心なしか元気がないような……
「……ラディッツ、リコリスさんに何か?」
「いや、こっちのセリフだし……
なんなんだよ、俺らに用か?」
「あなたに用はありません。
それとも何か、その暑苦しい髪でも切ってほしいのですか?
……私が聞いているのはリコリスさんに何かしたのか、ということです」
.