main(short love story)

□噛み癖(✳︎)
1ページ/2ページ


深夜2時。
世の中がシンと静まり返る頃。

キングサイズのベッドの軋む音が部屋中に響く。


「っ、はぁ、ローッ…」

「マナ、逃げるな」


ーーーーーもうダメ、何も考えられない。



マナはローの上に乗ったまま、下から激しく突き上げられる。最初から激しい恋人の律動に思わず腰が逃げてしまうところを、大きな手で強引に抑えつけられる。






「あっ、あっ、やぁあ…っ」

「ほら、もっといい声で鳴け」

ローの舌がねっとりと乳首の先に絡み、もう片方は強く彼の指先で摘まれる。

「っ、痛いよぉ…ローッ」

「それが、感じるんだろ?…さっきより、ココ、締まってる」

「…言わないでっ…!」


深く感じ入りながらも、数十分前の自分を激しく後悔しているマナだった。




仕事帰りにたまたま遭遇した元カレ。ほんの数分、近況報告し合って別れたのが、今日の夕方。
付き合っていたと言っても三年も前の話で、付き合いも2ヶ月でほとんど深い思い出らしいものもない。




家に着く頃には元カレの事などすっかり忘れていたマナだったが、先に帰宅していたローに荷物と携帯を預けて、台所に直行したのがまずかった。


「お夕飯、お肉とお魚どっちがいい?」

と振り返ってみれば、そこには不機嫌極まりないローの顔。

「おい、なんだよコレ」

「え」

画面に表示されるのはFacebookのメッセージ。
よくよく見れば、【今日は会えて嬉しかったを今度ご飯でも…】という文章に男の名前が表示されている。

中身を開かずとも通知で内容が分かる今のスマホは、便利でもある半面、危険でもある。

やましい事など何一つないマナは、全部をローに読ませて、今日の出来事を正直に伝え、一緒に食事にも行かないと伝えた。

しかし、ローの怒りは収まることなく、気が付いたらベッドまで連行されて今に至るのである。





ローとの行為で噛まれる事はよくあるけど、今回はいつもより痛い。

それなのに、ローの言う通りに反応してしまう自分の身体が憎い



付き合って何度も肌を重ねるうちに、ローの手によって敏感で感じやすい身体に仕上げられてしまった。

先程まで舌先で転がされていた乳首を思い切り吸われて、一度目の絶頂を迎えてしまう。


「あぁぁーーーーっ」


律動が止まると同時に、ローの割れ腹筋に手をついて、必死に痙攣する身体を支える。

(ーーーーあぁ、今の私は涙に濡れてグチャグチャだろう。)

溢れる涙を拭う余裕もないまま、ローを見つめる。


どちらかといえば気が強いマナは、日常生活ではローと口喧嘩も割とよくする。
年収だって同じくらいだし、ローにおんぶにだっこな生活ではなく、一人の自立した大人同士として対等に生活している。




だが、ローとの情事の時だけは違う。
マナがどんなに気を張っていようとも、絶対的に主導権を握るのはロー。



「ふ、噛まれてイッたのか?」

「ふぇ…っ、はい…」

ひっく、ひっくとすすり泣くマナの頬に手を添えるローは、手つきこそ優しいものの、意地悪い笑みで見上げている。

「俺の許可もなく?」

「ごめんなさい…っ」


身体こそ上に乗っているが、完全にローに服従するマナは、まるでご主人様に縋り付くような気持ちでいっぱいだった。


「お願い、許して…」

「…」

「っぁ、ん」

そうお願いすると、それまで深く挿れられていたローのものが引き抜かれる。

いきなりなくなった刺激に困惑していると、ローの腕が伸びて自分の体が、ベッドに沈む。
ちょうど先程と逆の体制だ。

「許して欲しかったら、ちゃんとこの口でおねだりしてみろ」

親指でゆっくり唇の形をなぞられる。もう、ローにそっとなでられるあだけで身体が反応してしまう。

この切なくて、恥ずかしくて、苦しくて、でもたまらなく欲しくなる感覚を教えてくれたのは、ローだけ。

「ローが、欲しい…」

顔を真っ赤にしてお願いするが、まだローは挿れようとはしない。

「っ?!」

いつの間にかローに掴まれた私の手は、彼のそそり立つものを握らされていた。

先程まで中に入っていたそれは、二人の体液でぬらぬらと光っていて、血管の浮き出るその姿は、そのままマナの劣情を増大させる。

「これが、どこに欲しい?」

「…な、中に…」

「全然わかんねぇ」

「あぁっ」

お仕置きとばかりに大きくなったクリトリスを摘まれて、ビクンと身体が跳ねてしまう。


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ