main(long love story)
□double espresso.1
2ページ/37ページ
都内のスタジオ。
華やかなフラッシュがシャッター音と共に部屋を照らす。
「はい、これでオールカット終了!」
「お疲れ様でしたーーーー!!」
雑紙の表紙撮影を終えた人気モデル、ナミは笑顔で控えブースに戻る。
「ナミ、お疲れさま!」
「マナ!ロビン・シックの副社長が直々に来るなんて、どーしたの?」
ナミと笑顔でハグする女性はマナ。
元パリコレモデルのニコ・ロビンが手掛けるファッションブランド『ロビン・シック』の副社長兼ブランドPR部長。
「リサーチで近くに来たからさ、ちょっと顔見に来たの。インスタで〈来月の表紙撮影なう〉って上げてたでしょ」
「あはっ、さすが副社長!モデルのリサーチも抜かりないわね」
「フフフ、うちの服をいつもカッコ良く着てくれてありがとう。表紙のワンピース、ナミの人気と相乗効果で問い合わせ殺到確実だねっ」
二人が盛り上がっていると雑紙『GLAND LINE』の編集長カリファがやって来た。ヒールの音を小気味よく響かせてやって来た彼女も、モデル顔負けのスタイルである。
「マナさん、御機嫌よう。来てくれたのね」
「カリファさん、お世話になっております。今月のドレス特集もお陰様で好評です!」
「ロビンと貴女の情熱がここまでブランドを大きくしたのよ。これからも女性をワクワクさせる服をお願いね。じゃ、ナミそろそろ…」
そう言うと、カリファ編集長はナミを次の仕事に促す。
「じゃ私は戻ります。ナミ、またね」
「あ、マナ待って!今から1時間取材が入ってるんだけど、上がったらお茶でもしない?久々にゆっくり女子トークしたいわ」
時計を見れば時刻は6時。
ナミの仕事が終わる頃までには、こちらも一仕事できそうだ。
「オッケー。じゃ、終わったら連絡して。近くで仕事してるから」
マナはスタジオを後にして、近くのネフェルタリホテルに向かった。