main(long love story)

□double espresso.2
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月曜日朝8時45分。
ロビン•シック社長室。



「凄いことになってるわよ」

ロビンは中央の机に座り、マナと一緒にデスクトップを見つめる。

ロビンが指差すのは一日ぶりに開く自社ホームページのメールボックス。


「え」

ヌーディーベージュに塗られたロビンの爪が指す数字の意味がわからず、間抜けな声を出すマナ。


ロビンはクスリ、と形の良い唇を上げて、今度はファッション•ウィークリーニュースと書かれた新聞に手を延ばす。

「マナ、あなたのスナップがメディアに取り上げられて、メールサーバーがダウン寸前よ。今期の注文に、来シーズンの問い合わせ。それから、このドレスを着ている子は誰だって、顧客から連絡も来てる」

「まさか、…信じられない」


ホームページのメールボックスは一日に一万件がマックスの受信許容量だが、もう今朝の時点で9000件をオーバーしている。


ーーーーー待って。
ローとパーティに行ったのが土曜日の夜。
日曜日は泥のように眠って、今日からまた長い一週間の始まり始まり…の筈だけど。



手元の携帯で自社のFacebookを見ると、ロビン•シックのロゴ下には15万を越える「いいね!」マーク。
Twitterも、インスタグラムもマナのドレス姿やルッチ達を始めとする著名人との2ショットが拡散されていた。



「これは、バーグレーに感謝しなきゃいけないくらいね。世間に変に取り上げられて、正直困っていたけれど。…私が顧客周りをしている間に、随分動いてくれたのね」

どこか懐かしそうな表情で、ルッチが写っている写真を眺めてロビンは言う。

「ちょっと、助けてくれた人がいて。その人がルッチさんと顔見知りだったらしくて、彼がSNSに載せてくれたの」

物凄い勢いで拡散されたのも、多分彼の力が大きい。

ロビンとは昔からの知り合いって言ってたから、多分それもあるかもしれない。

「ふふふ…もうしばらく会っていないけどね、彼は幼馴染なのよ」

「そのようだね」

「ま、とにかく…これでファッションショーを中止することはますます出来なくなった。とすると、なんとしても会場を確保しなければね」

「そうなの。それでね…」


マナは週末の会場探しがほぼ全滅だった事、都内のホテルがバーグレーグループに不自然な形で抑えられていることを報告した。


「会場らしい会場は全て抑えられている。困ったわね…」

「うん。シュウ工場長にも、今後の取引をどうするかも、まずはショーを見てから決めて下さいって大見栄切ってきちゃったし、ちゃんとした環境が絶対に必要なの」


いくら服が世間から注目されているとはいえ、まさか公民館や会議室でやる訳にもいかない。

会場の確保。
それが1番のプライオリティであり、大きな壁であった。







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