main(long love story)

□double espresso.3
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「女が舞い上がっちまってローがドン引きするパターンてこと」

キッドが口を開いたタイミングで、ローの携帯が鳴った。
電話だったらしくバーの外へ出て行ってしまう。

その後ろ姿をキッドと二人で見送ってから、キッドは続ける。

「…ローに本気になった女はことごとく振られてきた」

キッドはローとは幼馴染みということもあり、今までの恋愛の経緯をいろいろ知っているらしい。

大学を卒業後、研修医としてセントラル・クレハ病院に配属されたローは、その若さから病院中の関係者から注目されていた。
何しろセントラル・クレハ病院は日本トップレベルの意思が集まる病院だ。ある一定レベル以上の功績を残した医師が集まる場所の為、新人の医師はおろか、研修医すら最初に足を踏み入れることは常識的に不可能である。

そんなローがペンギン達と共にセントラル・クレハ病院に配属となったのはアメリカ、ドラム病院での研修の功績が認められたからだという。

給与面でも、肩書きも、もちろん持って生まれた容姿も完璧ーーーーーーーときたらモテないはずがない。


学生時代から女性関係は苦労しなかったが、社会人になると女性達からのアプローチはさらに 強くなったという。

「まぁ、そりゃ医者と付き合いたい女の子は多いよね」

3杯目のシャンパンをキッドについでもらいながら、前回の合コンを思い出す。お酒飲んで騒ぐのが好きなナミはさておき、リョウコや他の女の子達もローに夢中だったのは覚えている。


「マナ、お前は副社長って肩書き目当てに男が寄ってきたらどうする」

「ヒモ目当てってこと?嫌だよ」

今までの彼には役職については、付き合う前には一切伝えていなかった。

「だろ?ローは、それで女嫌いがますます激しくなってんだ」


故にヒモ目当ての男性は寄ってくることはなっかったが、私の場合は逆に付き合ってからがの方が、肩書きがネックになるんだよなぁ。

「だからまぁ、後腐れない関係を望んでる訳だがーーー、女の方はなかなかそうはいかないらしくてな。あんな仏頂顔でもモテるのは不思議でしょうがねえが」


最初は「割り切った関係」と約束をした上でも、一度ローとそうなったら正式に恋人になりたい、ゆくゆくは結婚もしたいという女性は後をたたないらしい。


「でも、そんなこと言ってたらいつまでも恋愛どころじゃないじゃん」

「ローは恋愛自体、興味ないからな。アメリカから帰ってきてから余計にそれが強まって、付き合ってだの結婚だの言われるのを毛嫌いする様になったな」

もちろん病院の中でも、今だに政略結婚ってやつがあるらしく、この前の様なパーティーはそういう話が多く出るそうだ。

あんなに簡単にキスしてきた理由、私がパーティーに連れて行かれた理由、ローが無愛想で気難しい理由がなんとなく一本の線で繋がった気がする。


ローは、誰も愛したことがないのだろうか。
だとしたら、こんな悲しい事ってあるんだろうか。

じゃあ、あの日方を組んで歩いていた女性は誰なんだろう。



頭の中をこの1ヶ月の記憶が駆け巡った。







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