main(short love story)
□噛み癖(✳︎)
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「ほら、言えるだろ?」
耳元に響くのは、まるで悪魔の囁きだ。
恥ずかしい。
悔しい。
でも、
欲しい。
意を決して、マナは左手で自分の人差し指と中指で割れ目をぱっくりと広げる。
足を大きく開いているので、そこから粘り気のある愛液が溢れているのも、ヒクついているのも全てローに丸見えだ。
冷たく見下ろしていたローの目は、その瞬間、熱い欲望にかすかに染まる。
「ロー、ここに、…私の中に。この硬いの…挿れて欲しい」
恥ずかしくて死にたい。
私は、また、この悪魔に負けた。
「いい子だ」
「ん、んんっ、ーーーーッ!」
与えると言うより、奪うようなキスと同時に、ローが中に入ってくる。
1、2分しか離れていなかったのに、またこうして繋がると全身に甘い痺れが回る。
強烈な快感に耐えるように、ローの肩に必死でしがみつく。
「はぁぁ、あっ、んっ、んン…」
最初はゆっくり、徐々に激しくなる律動はマナの理性を徐々に犯していく。
受け入れるだけだったマナも、自然に腰をいやらしくくねらせる。
「淫らだな、マナ。そうやって腰を動かして、俺の恥骨にクリトリスを擦り付けて…っ」
「あん、ぁっ、いぃっ…ローッ」
そんなの、わかってる。自分でも、どんなことをしているかって。
子宮の入り口を突かれる度に、二人が繋がる場所から聞こえる水音も大きくなる。
「前の男にも、ハァ…っ、こんないやらしい姿を見せたのかーーーー?」
激しく興奮しながらも、不機嫌さの混じったローの声。
「んっ、見せて、ないっ…」
こんなに乱れてしまうのも、全てをさらけ出せるのもあなただけ。
ローだから、どんなに酷く罵られても、恥ずかしい行為をされても耐えられる。
それほどまでに、愛しく思えるのは…
「ローだけっ、ローだけ、愛してるのっ…、ぁあっ、は…っん」
快感に震えながら精一杯、気持ちを伝えるマナ。
「マナ…」
ローの眉間に寄せられた皺が、少しだけ緩んだ瞬間だった。
同時にマナの中で暴れるロー自身は、より一層、大きさが増す。
「あっ、そん…な、深いっ…!」
大きさを増したロー自身は、中の一番良いところを激しく突いていく。
「マナは、奥が1番感じるんだよな?」
「…ふぅっ…っん、やぁああっ」
もう言葉を発する余裕すらない私は、激しく疲れながらコクコクと頷き涙を流す。
「マナの、この奥まで犯せるのは…、俺だけだ…っ」
揺さぶられる中で聞こえるローの声。こんなに激しく求められるのも、ローが嫉妬しているから。
人と必要以上の接触を嫌うローが、私だけに見せるその態度がたまらなく愛しい。
押し寄せる波に限界を感じる。
「も、…ダ、メぇっ…っっ」
目を硬く閉じて横を向いてたところを、ローの指先で正面を向かされる。
「誰のでイくんだ?」
激しく奥を突かれながら、更なる快感を求めてしまう。
「ローので、っー…、イかせてぇっー!」
「マナッ…」
二人の動きで、ベッドの軋みも強くなる。
「ほら、イけよ。マナ。俺ので奥まで犯されて、…イッちまえ」
「はぁっ…だめぇ、イッちゃう、ローッ」
「マナッ……くっ」
「あぁぁぁあーーーーっっっ」
二人とも同時に迎えた絶頂。
ドプドプと大量に流し込まれる、ローの熱い欲望。
その中に放たれる感覚に、果てたばかりのマナはブルッと身震いする。
「はぁ……ッ、あつい…」
まだ繋がっている部分から、収まりきらないローの白濁液がポタリ、ポタリと流れ出る。
ヒクヒクと咥え込んでいるそこを見て、ローは満足気に口の端を上げる。
その後のピロートークでも、
マナを後ろから抱きしめながら、拗ねたような口調で話す。
「ーーーーマナ。お前の全部は俺のものだ。他の奴には絶対にやらない」
ガブッ。
「いっ…」
肩にチクリと感じる歯の感触。
「ロー…」
抱きしめる手は優しいのに、ローの噛む力は強い。
その噛みグセは痛くて困るけれど、愛しくもある。
《噛み癖は、かまって欲しい時、相手に自分の強い愛情を伝えたい時に出るものだ。マナが耐えられるなら、許容してやれ》
以前、ペンギンにローの噛み癖を相談した時に言われた言葉がふっと浮かぶ。
ーーーーガブッ。
はいはい、分かりましたよ。
「私も大好きよ。ロー」
黙って肩を噛むローの頭に手を伸ばして、優しく撫でるマナであった。
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