吸血鬼と海賊少年
□君の自由は俺のもの
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「生意気なことを言いやがって〜!!マーナ! アリスを捕まえろ!!」
魚頭は、女に叫ぶ。だが相変わらず女はニコニコしてた。
「主、 アリスをよく見て。血を吸い首輪が切れて、本来の姿に戻ってるのよ?私が勝てると思う?」
少女の アリスに比べ、女は大人だ。
アリスの方が負けそうなのにと、俺は疑問を持った。
「そうなの?」
そう呟いた言葉は女に聞こえていた。
「ええ、そうよ。貴方、 アリスが吸血鬼って知ってるでしょ?私も吸血鬼なの」
吸血鬼の世界には、吸血鬼として産まれた者と、吸血鬼に噛まれて吸血鬼になった元人間の者がいるわ。
アリスは前者、私は後者よ。
元々吸血鬼の者はハイスペックなのよ。そして、貴族の分類。
そうね。例えるとしたら アリス達は完成品。私達は欠陥品。
完成品に私達は勝てないわ。
「なるほどネ、そういうことか」
俺は思わず納得してしまう。
でも、魚頭は納得してないみたい。
「なら、神威を殺せ!契約を無効にしろ!」
更に怒鳴ろうとした口は、止められた。
「お〜い。団長。こんな所にいたのかよ。ソイツ連れていってもいいか?」
阿伏兎が俺の部屋の窓から入ってきた。
いつもみたいに面倒くさそうに頭をポリポリとかいてる。
「うん、いいよー? アリスを散々いじめて来たヤツだから簡単には死なせないでネ」
「おいおい、仕事に私情持ち込むようなヤツだったかァ?まぁいいや、何があったか知らねぇが問題事は片付けてから帰ってきてくれ」
「ハイハイ。じゃあねー」
魚頭を連れてく阿伏兎に手を降る。
『マーナは?マーナはアイツと行かなくていいの?』
阿伏兎が怖かったのか、少し俺の背中に隠れていたけど、隣にまた アリスは来た。
「もう、いいわ。アイツ、金持ちだからって生意気なのよ。新しい主でも探すわ」
さっきから思ったけど、 アリスとマーナはまるで姉妹のような関係に見えた。
「海賊のお兄さん、 アリスのことよろしくね。バカでドジな子だけど、いい子だからさ。」
隣でドジじゃない〜!と(人1)が唸る。
「あ、海賊のお兄さん、これ。忠告。」