吸血鬼と海賊少年

□悲しい目
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「 アリスー!」



近くから聞こえた魚頭の声に、 アリスはビクッと反応し、俺から離れようと抵抗する。



「 アリス、静かな所で話そ?」



俺はそう、 アリスの耳元に囁くとヒョイッと アリスを横抱きにする。



『ひゃ!?』


アリスは突然の浮遊感に驚き、小さな声を上げ俺の首に手を回し抱きついた。


ドクン


俺の心臓が高く跳ねた気がした。



「 アリス、掴まってて」



驚きで俺の胸に顔を埋めたままの アリスの頭を少し撫でる。


アリスを抱えたまま、テラスの手すりに乗っかると、二階のテラスの手すりに飛び乗る。



夜兎ならこれくらい朝飯前だ。


俺はその調子で、52階に来た。途中めんどうに
なっていっきに飛んだことには アリス気づいてないみたい。



開いてる窓から入り、廊下を進むとある部屋にくる。



俺はその部屋の鍵を開け、部屋に入り アリスを抱えたまま部屋のソファーに座った。



「もう、いいよ アリス」



後頭部を撫でてると アリスはゆっくりと顔を見せた。


まだ、悲しそうな目をしてる。



アリスはキョロキョロと周りを見てから、俺を見た。



『ここは?』




「俺の部屋だよ。ここなら安心して話せるだろ?」


ずっとは、無理かもしれない。でも、少しの間だけなら、 アリスの心配事から守れると思ったんだ。




「 アリス、ここならしばらくは誰も来ないはずだよ?教えてよ。悲しい目をする理由を…」



俺達は数時間前に出会っただけで、お互いのことなどよく知らない。


でも、俺は アリスには色々話したいと思ったし、 アリスだけは他の女とは一緒にしたくないって思ったんだ。



笑った顔が似合う アリスを悲しませる原因は解決してあげたい。



だから、教えてヨ。
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