moon
□xxx...
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はらり、ページをめくれば鋭い目線に射抜かれた。
メンバーといる時に見る顔とは違う、男の顔。
どくっ、と心臓が変な跳ね方をした気がして胸が苦しくなった。
「お、ゆうとじゃん!」
後ろからのぞき込むようにして俺の手元を見ただいちゃん。
ソファに腰かけてる俺からしたら
だいちゃんの声だけ聞こえる状態だけどどんな顔してんのか、見なくたって分かる。
自分のメダルを見せるみたいな、そんな誇らしげな顔。
「あ、そっか!もうすぐ映画公開すんだもんな!」
「おい、まだ見てんだよ。」
「えーいいじゃん、一緒に見ようよ」
「見んわ!」
「つめてーのー!」
そう言って俺から雑誌を取って見始めただいちゃんの顔はやっぱりどこか誇らしげで。
俺、は、
「やまだ?どうした?」
「え?」
「なんか落ち込んでるように見えたけど」
「………。」
落ち込んでる、か。
たしかに盛り上がってはない、けど。
「あ!わかった!ゆうとが映画出だしたからまたメラメラしてんだろ!」
「ばか、俺はいつだってメラメラしてんだ」
はは、いつでもかよ!って笑っただいちゃんの声がなんでか耳に残った。