moon

□xxx...U
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『俺は気にしないから、がんばれ。』




まさかそんな返事がかえってくると思ってなかった。


山ちゃんのことだから、まじかー!ってちゃかして笑って、
でも意外に結構気にしてて、その日はめいいっぱい甘えさせてあげるつもりだったから。



気に、しない、って...




「はぁー……。」


「あ、幸せ逃げた〜」


「あ、ちねんだ」


「どうせ涼介のことで頭いっぱいなんでしょ、変態裕翔」


「やめてよ俺の名前の横にそれ置くの。」


「涼介も涼介でこの頃全然遊んでくんないし。僕とばっちり。」


「そうなの?なんで?」


「なんでって…あっちもあっちで頭いっぱいなんでしょー」


「、え?」




……どういう意味?




「っちねん、「おつかれっしたぁー」



ケータリングから戻ってきたメンバーがぞくぞくと楽屋入りする。


あータイミング逃しちゃった。





「涼介なに食べた??」


「俺はー牛丼!超うまかった!」




収録のときとは違う、ワントーン落ちた声。

少し鼻にかかったみたいな、その声をもうしばらくそばで聞いてない。






後ろめたくないように、正直でいられるようにって、話したのに
結局いつのまにか話を避けるようになった。




いっしょにいても口数がへって、
目があいにくくなって、
「ゆうと」って呼ぶ回数が減って。








俺、山ちゃん不足でいろいろ限界だよ、







「あ!!裕翔!」



いのちゃんの声が突然楽屋に響いてみんな視線はいのちゃんが指さすテレビ画面に。




__________まずい、





そこには俺の映画の予告が流れてた。

ご丁寧に30秒のバージョンでたっぷりと。




やめて、今は、




「………っ、」





プツッ、と画面が切り替わった瞬間
メンバーから歓声があがった。







「きゃーー!裕翔おっとな〜!」


「やっばやっば。」


「誰、相手誰だっけ!?」







藪くんとか光くんの声に紛れて、








「涼介?どこいくの?」


「っわるい、俺ちょっと腹いた、トイレ行ってくる」


「大丈夫?ついていこっか?」


「いやただの食いすぎだから!」





っあ、待って、



「やまちゃん……!」





返事のかわりにバン!!!って扉が閉められた。
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