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□堕恋 -daren-
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「ねー涼、「っあ、ごめん知念ちょっと待って」





……まただ。

この頃僕が呼んでも、前みたいにそばに来てくれなくなった。




この僕が呼んでるのに。







「山ちゃーん!」


「ぅわっ…ゆうてぃなんだよ、おーもーいー!」


「あっ、山ちゃんまた筋肉ついたんじゃない?」


「だろ〜〜。こことかヤバくね?」


「おおー! すげー太めにねじったストールみたい」


「おい、例え(笑)」







またそんな風に簡単に体を触らせる。

見る度僕の胸がジクジク、抉られる。









「っりょうすけ、」





この痛みをどうにかしてほしくて一人でモニターをチェックしてた涼介の背中に抱き着いた。




ぎゅうぅ…と抱きしめたら分厚い体の感触が直に伝わる。






「知念、どうした?」


「それ、やだ。」


「っえ?」


「知念、てやだ。」


「……侑李。どうしたんだよ?」





パシャッ、とカメラのシャッター音。
レンズは僕たちを映してる。




きっと来月のアイドル誌のオフショットにでも使われるんだろう。





仕方ないから一瞬視線をそっちに向ける。
涼介も当たり前のように同じことをしてた。





パシャッパシャッ、と何枚か連続してフラッシュがたかれた。





「おっけー!サンキュー!」



景気のいいカメラマンの声でいったんレンズが遠ざかった。






「……で、どうしたの。侑李」




僕が腰にまわした腕が涼介の手で解かれて、向かい合わせになる。






「侑李、かわいいよ」




ぽんぽん、と頭が撫でられる。
そう言って微笑む涼介のほうがかわいい。



悔しいけど僕より。

ほんのちょっとだけ。









「ね、涼介。今日____」





もう少しで癒してもらえる。

そのはずだったのに。









「やぁまちゃんっ♪」






ぴょんっ、と音が聞こえそうな感じでゆうとが涼介の前に立つ。









「もー裕翔くんちょっと向こう行っててよ」


「えー!なんでそんなこと言うんだよぉ…」


「はいウソ泣き〜〜」


「もぉ!涼介くんのばかっっ」


「誰だよ(笑) 分かった分かった。なに?」


「♪ ちょっとこれ見てみて!」


「なに…うわ、また俺撮ったの?」


「ベストショットでしょ」


「最近俺の寝顔ばっか撮るじゃん。もっとカッコいいとこ写してよ」


「カッコいいとこは雑誌で見れるけど、こんな寝顔は俺しか撮れないからね!」


「そう言ってゆうてぃカメラマンさんに妬いてんでしょ?(笑)」


「ばか!それ言っちゃだめなやつ!!(笑)」




 ……






笑い合う二人。

ゆうとを見上げる涼介の目。

涼介の肩を抱くゆうとの長い腕。









ああ、痛いな。
抉られた傷口から黒いなにかがドロっと流れた。







「……まぁ仕方ないよね」







僕のことほったらかしにする涼介が悪いんだよ。











涼介、覚悟しててね。
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