orion

□G.ain P.erfect S.cene
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最近気に入らないことがある。



それは時に目に見えて現れることもあるし、僕の知らない水面下で起こることもある。







「…あ。」



隣に座っていた涼介が小さく声をあげたさっきもそう。

涼介はスマホを見ながら、僕の嫌いな赤い点を目で追っている。




「圭人、またあのカフェにいる」

「………。」




気に入らないこと、そのいち。





このごろ、涼介は圭人の居所を常に把握してること。



あろうことか、




「GPSでね…。」

「ん?ちぃなんか言った?」

「ぁんでもなー…い」

「どうしたんだよ?今日はとくべつ甘えただな?」



ぎゅ、と抱き着いたら甘い香水が香る。
鍛え上げられた、シャツの下に隠された均整のとれた体。



「ねー…。」

「うん?」

「涼介、僕のこと好き?」

「なんだよ急に(笑)」

「ね、好き?」



袖からちょこっと覗く綺麗な指がスマホをくるりと回す。少しの沈黙があってから、





「……すきだよ。」




見上げた顔がやっぱり綺麗で、もっと触りたくなった。



「ちゅーしてもいい?」

「するなって言ってもするだろ?」

「するなって言うの?」

「言うと思う?」




全部疑問形の会話がおかしくて笑っちゃう。くすくすって音を唇から漏らしながらキスをした。




ちゅ、ちゅ、とリップ音が何度も響いて涼介の体から力が抜けるのを待つ。



なのに、






pipipipppppp.....




「……んっ…、は、知念、」




ひく、と体を震わせて僕の胸を押し返した涼介。まだ手の中にあったスマホを目に映す。





「………、だれ?」

「圭人。今なにしてる?だってさ」

「……。」







気に入らないこと、そのに。




圭人からの連絡が一日に一回は必ず来ること。しかもそれに必ず返信する涼介。




今なにしてる?
____僕とイイところしてる。





…なんて言ってくれればいいのに。





「涼介、「知念ごめん、俺ちょっと行ってきていい?」




スマホを置いてくれるのかと思ったら、涼介は僕の体を押し返して、ソファの上に座り直した。




「は?」

「圭人がさ、俺がずっと行きたいって言ってたカフェの整理券今取ってくれてんだって。ほら、代官山のとこのさ、知念も知ってるだろ?」

「………それで?」

「今から行っちゃだめ?…あ、知念も一緒に行こうよ、ぜったい美味いから!」

「…………。」





気に入らないこと、そのさん。





_____今のこの状況。






「な、ちね__ぅわッ!?」



僕の顔を覗き込んできた涼介を力の限り押し倒した。衝撃でスマホがカーペットに落ちて鈍い音を立てる。




「なに、急にどうし、ン…!」



がぶっと噛みつくみたいにキスをして、逃げようとする涼介の舌を絡め取る。

ドンドンと僕の胸を押し返してくるけど、そんなことでやめてあげるわけないでしょ?




「っ…、っ!ち、ね…っぁ…!」

「抱き潰して立てなくしてあげるから。覚悟しててね、涼介?」

「_!?い、無理、ちょ…ぅああ…!?!?///」





抵抗しようとする涼介をねじ伏せてソファに縫い付けた。





fin.

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