orion
□熱帯夜
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ふと、目が覚めた。
換気のために開け放った窓から、冷たい風が入り込んでいる。
閉めなきゃ、と思ったのは暖かいベッドの中で、到底起き上がれるはずもなく。
かわりに毛布を引き寄せてすぐ隣の肌に温度を求めた。
「……涼介、寒い?」
胸元に抱き着いて、微かな汗のにおいを感じていたらふいに頭上で声がした。
「…ぁ…だいじょぶ。ごめん、起こした…?」
「んーん、いいよ」
言いながら背中に腕がまわされる。眠たげな瞳がこっそり俺を映す。
「将暉、よく寝てたよ」
「…そ?最近寝られてへんかったからかな」
「うん。」
昨日散々触れ合った肌は冷めることなんて知らず、ベッドの中で未だにじくじくと疼いていた。
「明日から撮影だな、」
「そやなぁ、またしばらく群馬やな」
言った声が少し寂しげだった。
同じ撮影場所で毎日顔を合わせてるっていうのに、ただの共演者を演じるのは思ったより辛いってことを学習したのはつい1年前のこと。
触れられる距離にいて触れられないのは、案外…結構?かなり?しんどいもん。
「…やし、時間ぎりぎりまで充電するわ。」
会話をまた唐突にぽつりと繋げて、覆いかぶさってきた将暉。
「……今何%?」
「…28パーぐらいやな。」
あれだけしておいて?と言おうとした唇が塞がれた。
昨日何度も味わったはずなのに、急に飢えを感じてしまう。
ゆっくりと角度を変えてキスをする将暉を見てから、俺も静かに目を閉じた。
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