orion
□sweet kiss, caramel hug.
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白いシーツが隠す細い腰。
華奢な割に骨ばった肩が寒そうで毛布を引っ張り上げた。
その毛布ごと、後ろから抱きしめたら少しみじろぎした体。
「ん〜〜っ…りょ、ぉすけ…?」
「ん。はよ」
「ぉはよぅ……、」
さらさらの黒い髪が枕の上で乱れて、寝がえりをうちながら俺の腕の中に来る。
侑李の首筋から胸元は、昨日俺が刻んだ赤い痕が無数に散らばっていた。
痕をつけるときは部屋も暗くて、夢中になってるからどんな風についてるのかはっきりとは分からない。
毎朝自分がつけたキスマークの赤い色が侑李の血の色だと思うと少し申し訳なくなる。
だから、半分は手当するつもりで、半分は期待をこめて。
上から下へ、なぞるように。
その痕ひとつひとつに唇を寄せて触れるだけのキスを落とした。
「ん…っ…涼介、くすぐったぃ…。」
「………。」
「っ…〜っ…っぁ、」
まだなにも反応していない胸の突起にちゅっとキスをしたら頭上で微かに小さな声があがった。
もっと聞きたくて今度は舌でちろりと舐め上げる。
「っぁん…っ//涼介…や、だ…」
「“いい”じゃなくて?」
「〜〜っ…!ち、が……ン…!///」
ビクッと震えた体を本格的に暴こうと巻き付けられたシーツに手をかけたら、
「いッて…!」
「やだってば…!!///」
思いっきり耳をつねられた思わず手を止めた。気づいたら俺の胸を押し返す知念はむっとした表情をしていた。
「え、なにマジだった?」
「まじだよ…もう…。このごろ涼介激しすぎなんだもん…」
「……そ、うかな、」
「そうだよ、僕もう体ガタガタだよ…、、」
そう言ってはぁ…と重たいため息を吐く侑李。痛みをかばうように起き上がってすりすりと腰をさすった。
「侑李、」
「なに?」
振り向いた顔がまだ少し硬い。
謝罪のキスをしようと近づけた唇が空気にだけ触れて。侑李はぷいっ、と顔を背けた。
「キスも、だめなの?」
「だめ。今日はなんにもしちゃだめ」
「なんで?昨日気持ちよくなかった?」
「〜っ//そういう問題じゃないの! だいたい、涼介は、……っ、」
「…俺が?なに?」
「っなんでもない!とにかく今日はだめ!」
「……なんだよー…。」
むくれる俺をベッドにひとり取り残して、ずるずるとシーツを引き摺りながら侑李はリビングに行ってしまう。
触れたいと思うのは侑李だからなのに。
こんなにはっきりと拒絶をくらったのは初めてで正直落ち込む。
そのままぐずぐずとベッドの中に居座っていたらすっかり服を着終わった侑李がひょっこりを顔を出した。
「涼介、ごはんつくったら食べる?」
「………たべる」
「っていってもパン焼くだけなんだけどね」
「…侑李。」
「うん?」
「キスしたい。」
「…もー…涼介子どもみたい」
「……うっせ、」
仕方なくって感じがまだちょっとあれだけど、寄せられた薄い唇にやっと吸い付いた。
「っん…ぅ…。」
喉の奥で甘い声を出す侑李。
やっぱりかわいくて、俺の中の狼がじゅるりと舌なめずりをする。
けど、触れられたのはほんの少しですぐに侑李は体を起こした。
「はい、おしまい」
「もう?」
「もう。はい、起きて!」
「へいへい……」
きゅ、と握られた手に引かれて不完全燃焼なままベッドを抜けた。
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