orion

□恋烙
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カシャ、と耳元でシャッター音がして目が覚めた。




眩しい朝の光が目に差込む。





「……ん…、?」


まだ眠っていたいと主張する瞼を押し上げたら、そこには、





「おはよう、涼介」


スマホを片手にふわりと微笑む裕翔。



…よかった、いつも通りだ、と胸をなで下ろす。




「ぉはよう…」




目をこすって、ぼやけたままの視界をなんとか覚醒させる。


その間も裕翔は愛おしそうに俺を見てた。





「…ふ…、(笑)また撮ってるの、?」

「うん。ごめんね、起こしちゃった」

「んーん…、だいじょぶ、」



くすくすと笑いながら寝起きの俺を撮る裕翔はどこか楽しそうだ。





「ふふっ(笑)見て、かわいい」




そう言って見せられた画面には、シーツに包まれてぐっすりと眠る俺の写真。




「…俺はこれ見てどう反応したらいいの(笑)」

「かわいいでしょ?天使の寝顔!」

「はいはい…(笑)裕翔、ごはんは?」

「まだー」

「作るよ、」




言ってベッドから出ようとしたら後ろからぐい、と引き戻されて。

すっぽりと腕の中に包まれた。





「涼介。もうちょっと、寝てない?」

「まぁーた撮るんだろ〜?」

「撮らないっ。ね、ちょっとだけ。だらだらしよ?」

「……しょうがないなぁ。」





大きく開かれた足の間に座って、大人しく裕翔にされるがままになる。


腰にまわされた腕に自分のを重ねた。



……あたたかい。

背中ごしに聞こえるとくんとくん、って心音と、俺のことをぎゅ、と抱きしめる長い腕、足。



俺より少し高い体温がまた眠気を呼んできて、まどろみ始めた頃、


ちゅ、と額に柔らかい感触。




少し振り向くと今度は唇に触れるだけのかわいいキスが落とされた。





「りょうすけ。」





確かめるようにゆっくりと紡がれた名前にひどく、安心した。






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