moon
□xxx...U
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「……っ、っ」
やばい、追いかけて来る。
あの足の長さで追いかけられて捕まんないわけない。
「待って、やまちゃん…!!」
早すぎんだろ、
ってか俺テレビ局ん中走り回ってなにやってんだ。
こんなとこ誰かに見られたら______
ぱた、って足が自然と止まった。
いつだってグループのセンターだって自覚が俺をセーブしてくれる。
そしていつだって…縛る。
「やまちゃ……「なに、ゆうてぃもトイレ?」
「え?」
「俺ケータリング食いすぎちゃったみたいでさー超おなか痛かったけどもう大丈夫!」
「え、いや…。」
「ってことだからもう戻るわ。ゆうてぃもあんまトイレできばんなよ?笑 みんな待ってっからさ」
「待って。やまちゃん。」
へらへら笑って通り過ぎようとしたら
いとも簡単に腕を掴まれて。
「やまちゃん、ちゃんと話そ」
「__________なにを?」
問うた顔がピシリとひきつった。
苦しそうな裕翔の顔。
俺だって、
「なに?別れ話?笑」
笑いながら、自分の顔から表情が抜け落ちるのが分かった。
こんなことが言いたいんじゃない。
ほんとは追いかけてきてくれたことも、ほんとは、あの映画だって、
「………離して。裕翔」
「………やまちゃん、」
「____離せって!!」
シン...としたロビーに俺の場違いな声が反響して、泣きたくなった。
するり、抜けた腕。
足、動け。
振り向くな、泣いてんのバレる。
ただ床のタイルが過ぎていくのを見て歩いた。