orion
□絶対
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「あッ!…りょうしゅけっ…あァ…っ」
「侑李感じすぎ。体も馬鹿になってんじゃね?」
「やぁッ…ら、って…ぁ、あ…ッ!」
挿入されないまま手や口だけで何度も絶頂を味わわされて頭が痛い。意識を失いそうになった頃にまた強く押し上げられる、その繰り返し。
涼介…。
もう頭の中は涼介のことだけなのに、っていうかもともと涼介しか入ってないようなものなのに。
「な、で…っひぅッ…!//」
ギチュ、とわざと音を立てて僕のを咥えたまま、二重の目がするりと僕を見た。
その目はベッドでいつも僕に欲情してた涼介に似てたけど、少し暗い。
「なんでって。お前だろ?」
「っぇ、あッ!
やだ、も…っふぅうッ〜…!!//」
舌で何度もなぶられたそこに噛みつかれてまた軽く体が極まった。でももう精液なんてとっくに出なくて体だけが絶頂の波に飲み込まれる。
一度こうなったらもう体力が切れちゃうまでなかなか帰ってこれない。いわゆるイきっぱなしの状態になった僕を見て涼介はほくそ笑むように笑った。
「ヤバい?しんどいな」
「〜〜っア…ぁう…っあ、はっ…!」
「聞こえてる?侑李」
「いァッ…りょ、ぃ、だめ…ッ!!」
もうほんとにひどすぎる。イってるって分かってて体を無闇に触ったりしたら余計辛いの、知ってるくせに。
口に出さなきゃ聞こえないから、僕は心の中で毒づいた。
「ってか、結局侑李の思い通りじゃん。」
「ふぁ……っ?」
「俺今嫉妬で狂いそうだし。」
震える僕の体を難なく組み敷いて、見下ろしながら言う涼介。汗で濡れた髪からポタポタと滴が落ちてくる。
僕の思い通り…?
あれ?でも僕の目的って何だったっけ、
もう分かんないや_____
「侑李、手貸して。」
朦朧とする意識の中で涼介の声も遠くに聞こえた。気づいたら僕の手は背中でひとまとめにくくられてる。
逃げるわけないのに、っていうか逃げる元気ももうないのに。
「っはぁ、あっつ……」
顎から滴る汗をぐいっと拳で拭う仕草をぼんやりと見つめる。
本当に縛られたいって思ってるのは涼介のほうなんじゃないのかな、って
一瞬思ったけどそれもすぐに分からなくなった。
「涼介、ぁっあ…やぁ…ッ!」
「……っ、…っく、」
「だ、め…っも、んぁあッッー!!」
繋がってからのことは正直よく覚えてないけど、眠る直前にちゃんと抱っこしてくれてたことだけは覚えてる。
どんなにひどくしても僕はきっとやめてって言わないし、涼介もやめないだろうし。
だから僕も気づかないフリをする。
涼介の背中に付けられたキスマークとか、挿れてから僕の名前を一度も呼ばなかったこととか。
見えないフリで縛られてあげるんだ。
涼介が僕を縛る理由が欲しいならそれも全部目の前に落としてあげる。
そうやって僕たちは縛るんだ。お互いを。僕は僕のやり方で、涼介は涼介のやり方で。
解かれた手首のネクタイは汗にたわんで皺になっていた。
fin.
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薄暗い(?)ものにしてみました。リクくださった煌様ありがとうございました!!気に入っていただけたでしょうか…泣 なんか最後にどんでん返し的な「あれ?」みたいな感じになるのを目指したつもりなんですが…。難しい…。読んでいただきありがとうございました…!