orion
□28と53
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「ン…ッ…んん…ぅ、ん…っ///」
「っは、涼介…っ」
こんなキスすんのいつぶりだろ。
頭の中で遡ってみたけど乱暴に暴れる舌でそれもすぐに分からなくなった。
飲み込みきれなかった唾液が口の端を伝う。
どんどん激しくなっていくキスに頭がぼーっとしてきた頃、濡れた音を立てて唇が離れた。
ツ…と二人の唇が銀の糸で繋がる。むわ…っと熱い空気が車内に溢れた。
「っはぁぅ…、は…っふ…」
「ごめん、」
薄暗い中でも将暉の目が工場の光を反射してきらりと光った。
「ごめん、違うねん…早く帰りたいわけやなくてさ…早よ帰らな俺が我慢できひんっていうか…」
「が…、まん…ってなにを、」
「……涼介に触るのを。」
「〜っ!?////」
ぼそっと呟かれた言葉に頭が沸騰した。
「行きしの車の中でも涼介寝てたし…ほんまは疲れてんのに無理させてんのかなとか思って、」
「ちが…っ…むりとか…してない、車乗せてもらえて嬉しかったし、」
会えただけで十分幸せだったよ、って言ったら俺を抱きしめてくれる腕の強さが増した。
「運転中もそやったけどさ…涼介見てたらなんか触りたくなってくるし、キスとかしたいって思っちゃう」
「…っっ…///」
「んで盛って、また涼介に無理させたらあかんって思って…」
よかった、って安心してる俺と我慢しなくてもいいのに、とかふしだらなこと考えてちゃってる俺。
結局出てきたのはふしだらな方。
「べ、つに…、」
「…っえ?」
「我慢、とか…しなく、ても…ぃ…//」
「……っ!!涼介…それ意味分かって言うてる…っ?」
なんて返事したらいいか分からなくて、ただこくこくと頷いた。
「っ…!?、あ…っ」
そしたら将暉の体が覆いかぶさってきてガクンっ、ともたれかかっていたシートが倒された。
一気に視界が反転して、将暉を見上げる形になる。トン、と俺の顔の横に両手がつかれた。
「涼介……、」
「…っ…将暉…!?え、ちょ…っ」
ま、まさかここで…!?
熱をこもった目で見られるのは初めてじゃない。これはいつもベッドでしか見ないけれど。
咄嗟に押し返した手も難なく封じられて、首筋にキスが始まる。
「っ…ぁ…っ将暉…!
こ、こで、すんの…っ!?//」
「ん…。いや?」
「嫌っていうか…っ!あ、ちょ…っン…!
誰、かに見られ…っ///」
「大丈夫やって、この時間誰も来おへんから」
「でも…っこん、な…っ狭い、し…っ窓も、んんッ///」
言ってる途中で唇を塞がれた。
あ、だめだ…っ流されちゃ、だめ…っ
そう思うのに、体は逆に悦んでるのがみえみえで将暉を受け入れてしまうから。
思わず目の前のシャツに縋りついたら、将暉は嬉しそうに笑った。
不規則に動く指が服の中で悪さをして、胸の突起を弄り始める。勝手に快感を拾う体は俺よりずっと素直だった。
「ぁんんっ…!!///まさ、き…っ!」
「っは、今の声好き。もっかい、涼介」
「やぁ…っ…ちょ、ほん、とに…っぁ、かえろ…?将暉…っぁ…!」
「『帰りたくない』って言うたん涼介やろ?」
意地悪な声になった将暉は、わざと俺のさっきの言い方をまねて言う。
「ぁ、れは…っそ、ゆ意味じゃ…っあ…!ね、まじで、俺んちでもっ将暉の家でも、どっちでもぃ…っから、帰って、したぃ…っ!//」
「…っは、家までもたへん、」
息も絶え絶えの中、必死の訴えたのにあっけなく却下されてもうなす術がない。
「さっき我慢せんでええって言うたやん、涼介…、」
「そぉっだけど…っん、ぁッ…//」
嫌だって言いたいのに口から出るのは信じられないくらい甘い声だけ。これじゃ全然嫌がってるように見えない。
気付いたら履いていたズボンや下着はとっくに脱がされて開いた足の間に将暉が押し入るように座っていた。
がくがく震える足がドアや運転席に当たって痛い。
「涼介、狭いから俺に掴まっててな」
「っー…//」
別に気遣われたって嬉しくもなんともない、って心では毒づいてみたものの、俺の口がそんなことこんな状況で言えるはずもなく。
せめて心臓の音だけが伝わらないでほしい。
なんて言ったらいいか分からなくて、ただ黙って背中に手をまわす。ふと見えた窓は二人分の息と熱で白く曇っていた。
「涼介、かわいい…。」
うっとりした顔で俺を見て、甘ったるいキスをする将暉。こんな俺のどこがいいの、なんて聞けるわけない。
どんな答えが返ってきてもきっと俺はどきどきするだけ、また好きになっちゃうだけだから。
最奥へと将暉の熱が打ちつけられる度、勝手に腰が浮いてガタッとシートが音を立てる。
「…っぁ、あ…ッま、さき…っだめ、も…っ!!」
「は…っ…ん…、イきそ、?」
「やだ、や…っ…よご、しちゃ…っあん…!//」
「いいよ、イって…涼介、」
「だめぇ…ッや、も…むり…んぁア…ッ!!!」
ビュルルッと飛び出した白濁が将暉のおなかを汚す。少し遅れて将暉も熱を吐き出した。
「〜〜ッ…ぁ…っあ…っ」
「涼介……っはぁ…、は…っ」
息も整わないうちにちゅぐ、と唇が重なってもうなにがなんだか分からない。
分かったのは将暉にも我慢を覚えさせなくちゃってことと、この車には二度と乗らないってことぐらいだった。
つづく