短編

□好きを越えた日
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※近親相姦につき注意※



最近、弟の様子がおかしいと感じるようになった。
私と二つ年が離れているその弟、シゲはつい去年までは同じ中学校に通っていて。登下校はいつも一緒だし、勉強が苦手な彼に私が教えてあげたり彼にしかできない超能力を見せてもらったり。自分で言うのもなんだけど結構仲の良い姉弟だったと思う。口下手で不器用なシゲが私は確かに好きだったし、彼も私には懐いてくれているという自覚は十分にあったのだ。
しかし私が高校に進学してからだろうか、彼にそんな違和感を抱くようになったのは。何やら妙に、色気づいた、とでもいうのだろうか。今までには微塵も感じることのなかった雰囲気を、彼は突然纏い始めたのだ。中学二年生とはまさに思春期の真っ只中であり、そういった男女関係、色恋沙汰があっても何ら不思議ではない時期であることは間違いない。ずっと幼馴染のツボミちゃんに彼が恋をしていることも知っている。私が背中を押してあげることも何度かあった。だから遂に彼女に想いを伝え晴れて恋人の関係にまで上りつめたのかと、そんな可愛い弟の成長と考えると姉としてそれは非常に喜ばしい変化だと。そう自己解決をして、私は目の前のカレーライスを頬張った。


「姉さん、」
『ん、なあにシゲ?』
「今日の宿題、どうしてもわからない問題があるんだ。後で部屋に行ってもいい?」


向かいに座るシゲに、私は二つ返事で了承した。シゲに勉強を教えるの、なんか久しぶりだな。高校に入って登下校の時間もバラバラになってしまって、中学の頃と比べると格段にシゲや律と過ごせる時間が減ってしまっていた。だからこうやって弟に頼ってもらえるのは、姉からすればすごく嬉しいものなのだ。


「ありがとう、姉さん」


そう言ってシゲは目を細めて微笑んだ。するとじわり、またあの違和感が襲ってくる。私はそれをまるで紛らわすかのように無心で口の中のじゃがいもを噛み砕いた。本当に仲がいいわねえなんて笑うお母さんの声がどこか遠くで聞こえて。そしてごくりと飲み込んだ今日のカレーライスは、なぜだか何の味もしなかった。



***


『あれ、どうしたの。勉強道具持ってきてないじゃん』
「……」
『……シゲ、?』


そしてシゲは言葉通り私の部屋へ訪れていた。しかしながら彼の手には何も無い。問題集も、筆箱も。ドアの前で黙ったまま、ただこちらを見据えているだけだった。そんな彼の視線に思わず目を覆いたくなったけれど、もしかしたらシゲなりに何かを伝えたいのかもしれなかった。彼の想いを伝えることの不器用さは、誰よりも知っているから。だからここで私が拒絶してはいけない。私は紛れもない、シゲのお姉さんなんだから。
持っていたペンを机に転がし、私は未だに立ち尽くしているシゲの前まで歩み寄った。どうしたの、何かあった?さらさらと髪を撫でながらシゲに問いかける。二年生になってまた一段と大きくなった彼は、きっともう私の身長を超えてしまったと思う。まだ目線は同じくらいだけどやっぱりシゲも男の子なんだなあと、そんなことを頭の片隅で考えていた。すると不意にシゲの視線が持ち上がる。そして目が合った瞬間ぞくり、なぜか背中の方がびりびりと電気が走ったような感覚に襲われた。嫌な予感がした。


「……名無し、姉さん」
『! シゲ、っ』


どうしてそんなに熱のある瞳で私を捕らえるのか、そんなに苦しそうな声で私の名前を呼ぶのか。次に発した私の声は、しかしながら彼によってすべて飲み込まれてしまった。頭を撫でていたはずの手は強引に拘束され、シゲの顔が途端に近くなる。ちょっと、近いよシゲ。そう言って私が抵抗しようとした瞬間、唇を掠めた、何か。柔らかいその感触に瞬きを数回。シゲの手が小刻みに震えていた。


『し、げ……?』
「……っ姉さん、ごめん」


そう言って謝りながらもシゲは再び顔を寄せてきた。今度は掠めるんじゃなくて、ぴったりとくっついてきたそれ。そこでようやく私はシゲに口付けられていることを理解し、羞恥と共に全身の熱が急激に巡り始める。私は思いっきりシゲの体を突き飛ばし、距離をとるために数歩後ろへ下がった。どうして、こんなのおかしいよシゲ。顔を上げたシゲは頬を染めて、そしてどこか苦しげな表情で私を見つめていて。どくどくどくと、心臓がまるで警報のように激しく鳴り響いていた。




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ひいいい遂に書いてしまった…!memoのいかがわしい話()について予想以上の反応を頂きまして、調子こいて書いちゃいましたすみません。しかも続くという。r指定付けるまでの話は書かないですが、設定がもうすでにアウトかもしれない…




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