Unknown

□A mortal wound
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T
穏やかな陽光が降り注いでいる、とある秋の日の午後。
「つわはすさんなんて、大っ嫌い。」
最愛の恋人から投げつけられた言葉は自分にとってまさしく
一一致命傷だった。


キヨが自宅で動画の編集をしていると、不意に携帯の着信音が鳴った。
画面を開いて文面を確認すると、つわはすから、今夜飲みに行かないかとの誘いだった。
つわはすから誘ってくるなんて珍しいな。と訝しみながらも、キヨは了解した。待ち合わせまで後一時間半だ。急いで外出着に着替え、財布と携帯を掴んで家を出た。
いつもの店に着くと、つわはすは既に席に着いていた。しかもカウンター席では無く、テーブルの二人席に。
その時点でキヨは気付いてしかるべきだった。
面倒な話だ。と
「キヨ。」
一通りの注文を済ませ、落ち着いたところでつわはすが話しかけて来た。「なぁに?て言うかつわはすが俺と差しで飲みに来るとか珍しくねぇ?いつもpーpと行ってんじゃん。」
問い掛けると、つわはすはそこはかとなく目を逸らしつつ、ぼそりと言った。
「pーpに、大嫌いだ。て言われた。」
「はぁ?」
「今日、pーpが遊びに来たんだけど…

要約すると、つわはすは先月pーpに貰った手作りのお菓子を勿体なくて食べれず、結局駄目にしてしまった。そしてpーpが怒ったという事らしい。まあそれは怒るだろう。

「しっかし…。未だに小学生のカップルみたいな事やってんなぁお前ら。」
「どういう意味だよ。」
「いやぁ?まぁ、強いて言うなら、うざい。」
「う、うざ…!」
ああもう、こんなわかりきっている事で悩んでる奴らって現実に居るんだな。と変な所で感動する。
「まぁ仲直りしたいんだったら…」
あえてじらすように間を取り、
「とりあえず謝ろう。」
「それだけ!?」
「ただし手作りのお菓子持参。」
「な、なる程…?」
目には目を、手作りお菓子には、手作りのお菓子を。
まあ何というか、お前ら二人が喧嘩してると変な感じがするから。
「早く仲直りしろよー。」
「ありがとな、キヨ。」
つわはすは、まあぼちぼち頑張るわ。と笑って席を立った。
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