Unknown

□Clean room
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Clean room





「…珍しいな。」

pーpの家に入るやいなや、つわはすは呟いた。
玄関から入って直ぐに見える居間が、とても片付いている。
決して物が少ない訳では無く、本棚の中や机の上にもかなりの数の本や、細々とした置物などが置いてある。ちなみに本はもちろん研究用の物も多いが、意外な事に普通の恋愛小説もあり、以前本人に聞いてみたところ、お勉強用だよ。と言っていた。何の勉強だよ、とその時は思ったが、今ならなんとなく分かる。
――おおかた好きな人でも出来たのだろう。
つわはすは、つい思考の海に沈みそうになった頭を、ぶるぶるっ、と激しく振って現実に引き戻した。それを勘違いしたらしいpーpが頬をぷくぅ、と膨らませ、

「つわはすさんなにそれー、夢なら醒めろ的なアピール?」

と言ってくる。

「いや違っ…。それもある。」

とつわはすは言って、膨らんでいるpーpの頬を人差し指で突っついた。すると呆気なく頬は潰れてへこむ。むぅ。と唸ったpーpがまた頬を膨らませる。突っつく。
ふにふにとした感覚についつい夢中になり、そんな繰り返しが続いた。

「…つわはすさん。そろそろやめて。」
「ん。」

じゃれあいも一段落して、つわはすは本題に戻った。

「んで、何でこんな片付いてんの?」
「そんなに意外?」
「だって俺が何度言っても全然片付けようとしなかったし。」
結局、いつも俺が片付ける羽目になっていた。特に義務があった訳では無いが、実況を撮るときに辺りが汚すぎ、途中で雪崩落ちて来そうで怖かったのだ。
ちなみにレトルトとキヨは、いつもなんだかんだと言っては逃げていた。pーpは当初は手伝おうとしていた。(自分の部屋なのだから当たり前と言えば当たり前だ)しかし、全く片付いていない手元を見かねたつわはすが開始数分で止めさせた。
そうして一人苦労して片付けた部屋も次に訪れる時には決まって散らかっていて脱力するのだ。
そんなpーpの部屋が今日に限ってきちんと片付いている。これはもう事件と言っても差し支えがないだろう。一体何があったのだろうか。
その答えは、あっさりと本人の口からもたらされた。

「いっつもつわはすさんに片付けて貰うのも申し訳ないから…」

お掃除のプロを呼びました。
ああ、それは綺麗になるわな。でも少しだけ残念だ。

「ぴーちゃんの部屋の掃除すんの、結構楽しみにしてたのに。」

つわはすはぼそりと呟いた。

「つわはすさんなんか言ったー?」
「何でもない!」
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