Unknown

□Unavailable
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Unavailable

隣にいて触る事は出来るのに、抱き締める事は叶わない。
決して手に入らないのだから、諦めてしまおう。ずっと、そう思っているのに。
想い続けているのだ、僕の心は。


灯りは点いているのに、何故だか薄暗く見えるこの部屋。聞こえてくるのは、僕がノートにペンを走らせる音くらい。この課題を終わらせて、明後日はいつもの四人で会う。そのために一心不乱にレポートを書いていたので、気付くのが遅れてしまった。
何時の間にかパソコンのメールアイコンが点灯している。
一体誰からのメールだろうか。
送信元は…、つわはすさん?
明後日の事で何か連絡があるのかと思い、急いで文面に目を通すと、こう書いてあった。

[急でごめん!明日の午後もし暇だったらでいいんだけど、どっかで会えないかな?]

僕は即座にOKと返信した。この際課題が雑になってしまってもいい。僕とは違って社会人で忙しいつわはすさんがせっかく時間をとってくれたのだから、それを無駄にさせる訳にはいかないからだ。
…単純につわはすさんと会う機会を逃したくないと思う気持ちもあったけれど。
その後すぐ届いた、待ち合わせ場所と時間を指定するメールを見ながら、pーpは独り言を言った。

「明日、楽しみにしてる、か。」
彼からすれば、特に深い意味は無いのだろう言葉。けれどそれは、自分にとってはひどく甘い言葉だ。こんな些細な一言にでさえ期待してしまう、どうにもならない自分の心の動きが、少し恨めしい。


「pーp、昨日突然だったのに来てくれてありがと。何も予定無かった?」

僕らは待ち合わせ時間の五分前くらいに落ち合い、今はつわはすさんお薦めだという喫茶店に向かっている所だった。知人が経営しているらしく、仕事帰りによく寄るそうだ。美味しいのか、雰囲気がいいのか、あるいはその両方なのか。
僕はそんな事を考えながら先程のつわはすさんの問いに答えた。

「いや、レポートも頑張って終わらせたし。」

頑張って、にややアクセントを置くと、つわはすさんは分かり易いくらい狼狽えて、申し訳ない!という顔をしながら恐る恐る尋ねてきた。

「pーp、もしかして結構無理してくれた?」
「いや?まあ、頑張っただけだよ。」

つわはすさんに会いたかったから、という部分はあえて省いた。

「うわあぁぁ!本っ当にごめん!」
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