Unknown
□Minute change
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Minute change
それはごくわずかな変化。目を凝らしてやっと見つかるような、ほんの些細な違い。
けれども、ただの偶然と言うにはどこか不自然だった。
(最近、pーp何か変だ。)
彼はよく笑う人で、いつも楽しそうで、その笑顔を見る度、俺も幸せな気分になる。なのに、最近彼の笑顔が減っている。
その上偶に見せる憂かない顔。
(何かあったのかな。)
もしかしたら大学の成績が悪いとか、いやでもpーpに限ってそれは無さそうだ。
人付き合いの上手い彼のことだ。人間関係もそれなりに良いはずだ。
実況のゲーム攻略がなかなか進まないのだろうか。けれどそれも、見た感じさほど深刻では無さそうだ。
あの二人に聞いてみたら何か知っているだろうか。
「いや、知らねー。そんなに変か?いつも通りじゃね?」
「俺も知らない。でもまあ、つわはすさんが言うならそうなのかもね。つわはすさんよく見てるし。」
レトさんの言葉にどきりとして、とっさに問い掛けが口から零れる。
「どういう意味。」
「いや…、つわはすさん、あんま喋んないで周り見てる気が。」
レトさんはややたじろいだようにそう答えた。
俺は少し語調がきつかったかもしれない、と反省した。
「あ、でも、大人っぽくはなってる、かな。」
「大人っぽくぅ〜?」
「そうだね…。好きな人でも出来たとか?」
レトさんは、そういってすぐに、冗談だよ!?とおどけたように付け足した。
まあ、証拠とかも全くないし、考えても無駄無駄。
確かにね。
じゃ、俺たちそろそろ帰るから。
二人の会話は遠く、遠くなって。
ただ一つの言葉が俺の中に残った。
(好きな、人?)
そんな事
ありえない。
ありえない?
ありえなくも、ない?
気付けば部屋に一人。柄にもなく物思いに沈む俺。
もしpーpに好きな人がいるのだとすれば、
一体誰と。
どうして教えてくれないのか。
前提さえ不確かな問いを考え続けてしまう。何故だろう。
(もう寝てしまおう。)
答えの出ない事を考えていても、意味は無いのだから。
窓の外には雲が広がり、煌めく星の光を覆い尽くしていた。