Unknown
□Clean room
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Clean roomV
「いや…、大丈夫。」
「無理しない方が良いって。まあ、嫌ならしょうがないけど…。」
あ、ずるい。
そんな風に残念そうに言われたら否定の言葉なんて返しようが無いじゃないか。
「別に、嫌じゃないけど。」
俺は俯きながら呟いた。すると途端に笑顔になるpーp。
こんな真っ直ぐな彼の笑顔に、自分はとても弱いみたいだ。
二人で作った夕食を食べた後、わいわいと騒ぎながらゲームをして、くだらない話をしながら布団を敷いた。
隣り合わせで、少し隙間をあけて。
「おやすみ。」
電気を消すのはいつも俺。
pーpは眼鏡を取って、先に布団に入っている。
「つわはすさん、ありがとね。」
「何、いきなり。」
「本当、色々ありがとう。」
「おう、どういたしまして。」
「おやすみ。」
「おやすみ。」
電気を消して俺は布団に入った。pーpはこちら側を向いて寝ているので寝息が近くに聞こえて、心臓がどきどきとする。
「pーp?朝だから起きて。」
「ふわはすさんおはよ…。」
大学への登校があるらしいのでぐっすりと寝ているpーpを揺り起こすと、pーpは欠伸混じりに答えた。
「朝ご飯作ってあるから。」
「うぅ〜、ありがとつわはすさん。」
pーpはまだ目が半分しか開いていないような状態で、掛け方が悪いのか眼鏡も傾いている。
俺はひょいと片手でそれを直してから勢い良く窓を開け放った。すると、まだまだ冷たいものの確かに春を感じさせるような空気が漂ってきた。
「う〜、寒い〜!」
そのお陰でpーpもすっかり目が覚めたようだ。壁に掛かった時計がようやく目に入ったのか青ざめて、大急ぎで朝食を掻き込んで出掛けていった。
「行ってきます!」
そして、一人pーpの部屋に取り残された俺。
「帰るか。」
今日の仕事は午後からとはいえ、pーpの家にあまり長くいるのも悪いだろう。
そうして荷物をまとめ部屋もざっと片づける。
最後にざっと辺りを見回して何も落ちていないのを確かめた後、玄関で靴を履いているとふと小さな消しゴムが落ちているのに気が付いた。
大学に行くときにでも落としたのだろうか。指先で拾い上げ、机に置いておこうと思って動かした手がぴたりと止まった。
緑色の線がカバーからちらりと覗いている。
それはどう見てもpーpの名前とは違う、横文字だった。
好奇心に駆られてするりとカバーを抜き取ると
そこには小さく、t・pと書かれていた。