Unknown

□Unavailable
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必死に謝ってくる彼はすごく可愛らしかったけれど、流石にこのまま放っておくと罪悪感が生じるので、何とか浮上させるための努力をしていると、目の前に喫茶店が現れた。
看板の脇にさりげなく置かれた観葉植物と、落ち着いたアンティーク調の外観がいかにも喫茶店、という感じだ。全力で喫茶店オーラを放っている。

「つわはすさん、ここで合ってるの?」

と尋ねると、彼はこくこくと頷いた。
扉を開くと屋外よりは若干薄暗いものの、清潔感溢れる店内が目に入る。

「あ、いらっしゃーイ。」

店の奥から少し鼻声の混じった声(まるでレトさんの女性版だ)がし、ぱたぱたと音を立てて店員さんが走ってきた。ぱっと見爽やかなイケメンっぽいが、声は女性らしい可愛い声で肌も白く、外国の人みたいだ。
つわはすさんも慣れた様子で、幾つか注文し、最後にさり気なく一つの質問をした。

「…この前頼んだ奴って出来る?」
「う〜ン。どうかナ〜。」

彼女はそうやってもったいぶってみせたが、つわはすさんの反応が薄いのを見て、詰まらなそうな顔をした。その一瞬後、いいこと思い付いた!みたいな顔で手のひらを叩いた。

「えっト〜。キスしてくれたら出来るヨ!」

そう言って彼女は突然、ぐいぐいとつわはすさんに近付いていく。呆然として動けない僕の目の前で、互いの顔の距離は、残り15センチになる。

「だ、」

駄目。と僕が思わず口にしかけた時、つわはすさんは彼女の肩を軽く掴み、押し戻した。

「止めてってば、ニー姉さん。」
「…ほんと、一途だネー。こんな可愛い女の子が誘ってるっての言うのニ。よっぽど例の子に入れ込んでるみたいで。」
「それは言わないで!」
「まあいっカ。作ってあげるヨ。」

あっさり言って、彼女は店の奥に消えていった。嵐のような人だった…。ていうかお姉さんなの?例の娘って誰?え?そうして僕がそこはかとなく混乱していると、つわはすさんがpーp座りなよ。と椅子を勧めてくれた。

「つわはすさん好きな人いたんだ…?」
「うん、まあ。」

片思いなんだけど、とつわはすさんは照れくさそうに笑った。
「どんな娘なの?」
「う…。言えない!」

何度聞いてみても答えは得られそうになく、それに真っ赤になっている彼を見ていると嫉妬してしまう。自然に会話が少なくなってきたタイミングで、目の前に白いカップがコトリ、と置かれた。

「お待ちどーさマ。」
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