Unknown

□Steadly snow
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dropU

 無邪気に嬉しそうに笑うその顔に。

「馬鹿!何で待ってるの!?」

 申し訳無さよりも、むしろ怒りが先に立ってしまう。
 降りしきる雨の中、こんなに遅い時間まで。
 寒いから、長い時間外にいたらもしかしたら風邪を引いてしまうかもしれないのに。

「飛行機が遅れる事は聞いてたから。ヒラに会えるのが分かってるなら、待つのもむしろ楽しいぐらいだったよ?」

 あっさりと言って、フジは軽くヒラの手を掴んで歩き出す。

「帰ろっか」

 繋がれたフジの手は、酷く冷え切っていた。




 一本だけの傘はあまり役に立たなくて、お互いにびしょびしょになりながら苦笑いをして、家に辿り着くなり濡れて張り付いた服を脱がせ合って。
 じゃれあいながら狭い湯船に飛び込んで、何度も何度も口づけを交わした。
 互いをどれだけ想っているのか、口に出さなくても全部伝わっていて。
 会いたかったとか、待たせてごめんとか、そんな事を口に出したら涙が出てしまいそうで。
 ヒラはただ、フジは馬鹿、本当に馬鹿だ、と繰り返すことしか出来なかった。
 その言葉は唐突な口づけで塞がれて。
 その後は、ただ甘い吐息を零すだけ。




「雨やまないね……」

 パジャマの上だけを羽織ったヒラが、ベッドの上に行儀悪く胡座をかきながら呟く。その白い足に幾つも付いている紅い跡。古いものも、新しいものも。
 真夜中を過ぎたのに雨は勢いを増すばかりで、音を立てて窓ガラスを叩いている。

「やまないね」

 麦茶の注がれたカップを二つお盆に載せて運んできたフジも、ヒラの横から窓の外を覗き込む。

「電車、止まらないかな」

 その呟きは、心配というよりかはまるで願い事のようで。

「止まったら、まだフジと一緒に」

 フジは何も言わずにただヒラを抱きしめ、やや躊躇いがちにその胸に額を押し当てた。
 フジが黙ったまま指先でヒラの白いうなじに触れると、ヒラは驚いたようにぴくり、と反応する。
けれど、自分を抱き締める腕から逃れようとする事はなかった。
 雨はまだ降り続いていて。
夜はまだ、明けない。






 あとがき

 更新が大幅に遅れていてごめんなさい_(_ _)_

 とか言って読んでる方がいらっしゃらなかったらとても辛い…。

 そして悲恋が書きたいけど書けない。私には向いてない。

 今回はヒラフジです。書き方いつもと違います。
そして、Fの4…フジ…


 そう言えば、ハナミズキの花が咲いていますね。ハナミズキに絡んだ話とか良いですよね(書くとは言ってない)。
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